第607話 本部の売上が伸びても、加盟店が儲かっているとは限らない
コメダホールディングスの2027年2月期中間決算は、売上収益307億6,500万円で前年同期比7.8%増、営業利益52億5,600万円で11.9%増となりました。連結業績だけを見れば順調な増収増益です。
一方、報道では、価格改定後のFC加盟店向け卸売上の伸びが鈍化したとされています。ただし、この鈍化が値上げだけによるものなのか、加盟店の客数や利益が悪化しているのかは、公開情報だけでは判断できません。
ここで考えたいのは、FC本部の増収増益と、加盟店の好調は同じではないということです。
飲食FC本部の収益には、ロイヤルティのほか、食材、包材、備品などを加盟店へ供給することによる卸売上があります。加盟店が増え、仕入価格が上がれば、本部の売上は増加する可能性があります。
しかし、加盟店側ではどうでしょうか。
原材料価格の上昇によって仕入価格が上がっても、販売価格へ十分に転嫁できなければ、店舗の原価率は悪化します。価格転嫁できたとしても、客数や注文点数が減れば、売上や粗利益が伸びないこともあります。
つまり、本部の卸売上が増えたという数字だけでは、加盟店が儲かっているかは分かりません。
本部が見るべきなのは、出荷金額だけでなく、出荷数量です。
例えば、加盟店への出荷額が前年比5%増えていても、仕入単価が10%上がり、出荷数量が5%減っているのであれば、店舗では客数や販売数量が減っている可能性があります。金額の増加によって、商品の動きの鈍化が隠れてしまうのです。
さらに、多店舗平均だけで判断してはいけません。好調店の仕入増加が、不振店の減少を埋めていることがあります。店舗別、商品別、時間帯別に確認しなければ、問題のある加盟店を発見できません。
価格改定後、本部とSVが確認すべき項目は、次の五つです。
1つ目は、加盟店の店舗別営業利益です。売上ではなく、値上げ後に最終的な利益が残っているかを確認します。
2つ目は、客数と注文点数です。客単価が上がって売上が維持されていても、顧客離れが始まっている場合があります。
3つ目は、商品別の仕入数量です。金額ではなく数量を見ることで、実際に商品が動いているかが分かります。
4つ目は、原価率と粗利益額です。原価率が上昇していても、粗利益額が増えていれば一概に悪化とはいえません。率と額をセットで見ます。
5つ目は、在庫と廃棄です。販売数量が落ちているのに、以前と同じ量を発注していれば、廃棄や滞留在庫が増えます。
この五項目を、価格改定前、改定後30日、60日、90日で比較します。全店一律の指導ではなく、利益が残っている店舗と悪化した店舗の違いをSVが分析することが重要です。
FC本部の役割は、本部利益を最大化することだけではありません。加盟店が継続的に利益を上げ、その結果として本部も成長する関係をつくることです。
仕入価格を上げれば、本部の売上は増えるかもしれません。しかし、その結果として加盟店利益が減り、閉店や契約解除が増えれば、長期的には本部自身の経営基盤も弱くなります。
本部の決算が好調なときほど、「加盟店のPLも好調なのか」を確認する必要があります。本部の増収増益を本当の成長と呼べるのは、加盟店の利益も同時に増えているときなのです。
