第257話 海外進出と12月実績と多店舗展開
外食企業の海外展開が加速している。上場企業の売上高10社の昨年度の海外進出が1000店舗を上回ったと日経電子版が伝えている。
特に外食業界で活発なM&Aにより傘下に収めた現地企業の進出が後押しをしている。
日本の国内需要は人口減少で停滞しており、内需型と言われて来た外食企業も海外に成長を求め始めている。
最近は新たに外食の多店舗化を始める経営者は間違いなく、海外は視野に入っている。
特にアジア市場は日本食の人気にも乗って積極的に進出を試みている。
2019年は世界各地で日本食を提供するレストランが15万6千店となった。2017年は11万8千店でしたから2年で3割拡大した。特にアジアが1.5倍に拡大した。中間層の増加などから日本食に親しむ人の裾野が広がっている。農水省は日本食レストランが増えることで農林水産物・食品の輸出の拡大につながると期待する。
アジアの店舗数は10万1千店で前回調査の6万9300店から大きく増えた。中南米は6100店で3割増、ロシアは2600店で1割伸びた。
06年の調査では日本食レストランは2万4千店だった。この時点と比較すると13年間で6.5倍に拡大したことになる。農水省は、日本の食材を活用する海外のレストランを増やし、国内の生産者の販路拡大を目指す。
各社はM&Aも活用した出店戦略で調達コストを抑え、早期の収益化を狙っている。メニューの魅力を高めるために現地パートナーとの連携を深める動きも一段と広がりそうだと伝えている。
日本フードサービス協会より2019年12月の実績が発表になっています。確認してみましょう。
<外食市場12月の動向>
FFの好調に支えられ、売上は前年を上回る
<全体概況>
12月は、土曜・祝日が前年より少なく、外食全体の客数に影響し、FR業態および飲酒業態を中心に客数を落とした。また、法人の忘年会の減少、禁煙店舗の増加、大晦日などの営業時間短縮、消費増税の影響による商業施設の不振なども、客数減の要因となったが、引き続き好調なFF業態に支えられ、外食全体の売上は101.0%と前年を上回った。
<業態別概況>
■ファーストフード業態
・全体売上は103.5%と前年を上回った。
「洋風」は、期間限定商品やクリスマスシーズンのチキンが好調で、売上は103.3%。
「和風」は、引き続き季節商品や定食メニューの好調で客単価上昇、売上105.4%。
「麺類」は、ディナー時間帯での増量キャンペーンなどに支えられ、売上100.6%。
「持ち帰り米飯・回転寿司」は、回転寿司では年末の持ち帰り需要が好調で単価上昇、売上100.7%。「その他」は、「アイスクリーム」が携帯会社とのコラボキャンペーンにより客数が大幅に増加、売上は109.2%となった。
■ファミリーレストラン業態
・全体売上は98.3%と前年を下回った。
「洋風」と「和風」は、禁煙店舗の拡大や営業時間短縮に加え、消費増税による節約志向なのか、全般的に客数が振るわず、売上は「洋風」96.3%、「和風」94.1%。「中華」は、忘年会シーズンに合わせたビールの値引きなどの各種キャンペーンを連続して打ち出し、売上は104.2%。
「焼き肉」はお得なキャンペーンの奏功や、冬休みのファミリー需要が堅調で、売上は104.3%となった。
■パブ・居酒屋業態
飲酒業態は、若者を中心に忘年会を敬遠する風潮があり、全体的に宴会需要が振るわず、「パブ・ビアホール」が売上97.3%、「居酒屋」は売上94.8%となった。
■ディナーレストラン業態
ディナーレストランでも法人の忘年会減少の影響を受け、特に月後半の集客が伸びなかったところもあり、売上は99.6%となった。
■喫茶業態
商業施設立地の店舗では、消費増税後、客数が伸び悩むところが多いものの、価格改定などで単価が上昇、売上は103.3%となった。