第310話2 020年のまとめと12月実績
日本フードサービス協会から12月実績と2020年の実績まとめがりましたので報告します。
◼️ 2020年年間実績
コロナの影響で、売上前年比84.9%と、調査開始以来最大の下げ幅
<全体概況>
○ 新型コロナウイルス感染症の影響は、外食産業に深刻な影響を与えた。2020年の全体の売上前年比は84.9%と、平成6年(1994年)の調査開始以来、最大の下げ幅となった。政府から「緊急事態宣言」が発出された4月には、前年同月比60.4%と単月として最大の下げとなり、その後、徐々に回復傾向をみせたものの、8月をピークとしたコロナ「第2波」、11月以降の「第3波」の影響を受け、年間では大幅に落ち込んだ。
○ 業態別では、テイクアウト・デリバリー需要に支えられた「ファーストフード」(96.3%)のような業態も一部あったものの、店内飲食を主とする「ファミリーレストラン」(77.6%)、「喫茶」(69.0%)、「ディナーレストラン」(64.3%)、「パブレストラン/居酒屋」(50.5%)等は軒並み大きなダメージを受けた。コロナ禍によって業態間格差は拡大し、特に飲酒業態への影響は壊滅的で、深刻な事態となっている。
○ コロナ以後の外食需要は、感染を避ける消費行動や、テレワークの増加などの働き方の変化から、「繁華街立地」「店内飲食」「ディナー時間帯」「大人数利用」の業態・店舗から、「郊外立地」「テイクアウト・デリバリー」「ランチタイム」「少人数利用」の業態・店舗にシフトする傾向がみられた。
<四半期動向>
○ 売上は、全体及び業態別ともに、概ね「緊急事態宣言」が発出された第Ⅱ四半期を底に、その後、回復傾向となった。
○ 店舗数は、全体ではコロナの影響により、年後半に向かって減少幅が拡大。特に「パブレストラン/居酒屋」は店舗減少の幅が大きく、第Ⅳ四半期には前年比87.8%となった。
○ 客数は、全体及び業態別ともに「緊急事態宣言」が発出された第Ⅱ四半期を底に、その後、第3波直前までは回復傾向となった。
○ 客単価は、全体ではまとめ買いのテイクアウトなどにより、すべての期で前年を上回って推移した。業態別では、「パブレストラン/居酒屋」のみが、すべての期で前年を下回って推移した。
◼️ <外食市場12月の動向>
新型コロナ感染増で、店内営業は年末需要の消失
<全体概況>
12月は、新型コロナ新規感染者数が更に増加、度重なる政府・自治体からの営業時間短縮要請や外出自粛要請などにより、客足が急減、店内飲食業態は大きな打撃を受けた。忘年会や帰省など期待された年末需要が消失し、外食全体の売上は前年同月比84.5%と大きく落ち込んだ。特に夜が書き入れ時の飲酒業態は再び壊滅的状況で、「パブ・居酒屋」は前年比39.1%に急落した(11月の前年比は57.2%)。
<業態別概況>
■ファーストフード業態
・FFは、洋風など巣ごもり需要で堅調な業態もあったものの、コロナ第3波の影響で客足減少、全体売上97.0%となった。
「洋風」は、ドライブスルー、テイクアウト、デリバリーの好調に加え、各社クリスマス時期のチキンの予約販売が好調で、売上104.8%と唯一前年を上回った。
「和風」は、引き続き高単価の季節メニューの好調と、テイクアウトの下支えもあり、売上は前月並みの94.7%。
「麺類」は、郊外の路面店に一部回復が見られたが、コロナ感染の勢いは衰えず月後半にかけて客数減、売上81.9%。
「持ち帰り米飯・回転寿司」は、テイクアウト需要の高まりで比較的堅調、売上は96.2%。
「その他」は、コロナの影響で昨年のような年末キャンペーンも打ち出せず売上は83.7%。
■ファミリーレストラン業態
・FRは、前月末から客数減少傾向が続き、加えて酒類を提供する飲食店等に対する時短要請が全国に広がり、全体の客数は75.2%、全体売上は78.2%となった。
・「洋風」はデリバリーやテイクアウトが健闘したが売上は74.0%、「和風」は忘年会等の需要が振るわず74.2%、「中華」はテイクアウト・デリバリーに支えられ92.3%、「焼き肉」は大人数の宴会が消失し88.6%となった。
■パブ・居酒屋業態
・飲酒業態は、「コロナ第3波」の影響で酒類提供店舗に対する営業時間短縮の要請が全国的に広がり、夜の営業が売上の大半を占めるパブ・居酒屋は特に大きな打撃を受けた。業態全体の売上は39.1%、「パブ・ビアホール」は売上36.2%、「居酒屋」は39.8%だが、前年同月比20%台の店も出るほど厳しい状況が続いている。
■ディナーレストラン業態
・ディナーレストランは、これまで時短の要請と解除が繰り返される中、法人や大人数の宴会が全く期待できず、売上は急減、前年同月比58.1%となった(11月の前年比は73.4%)。
■喫茶業態
・年末には人の動きが更に鈍り、繁華街・ビジネス街はもとより郊外店舗でも集客が減り、売上は71.7%となった。