第364話 2022年度の賃金動向

まもなく新年度が始まろうとしていますが、各社賃金改定の動きが急の様です。

帝国データバンクが2月10日のニュースリリースで伝えている。

 

2022年度、企業の54.6%で賃金改善を見込む。ベースアップは過去最高の水準に

2022年度の企業の賃金動向について尋ねたところ、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が「ある」と見込む企業は54.6%となり、2年ぶりに5割を上回った。一方、「ない」と回答した企業は19.5%と前回調査(28.0%)から8.5ポイント低下した。

 

賃金改善の状況について企業規模別にみると、「大企業」「中小企業」「小規模企業」の3規模全てで、前回調査の2021年度見込みから賃金改善見込みの割合が上昇していた。また、業界別にみると、『製造』(59.7%)が最も高く、『建設』(57.2%)や『サービス』(54.0%)が続いている。

企業からは、「賃金の上昇により、消費の増加に期待」(各種機械・同部分品製造修理、長野県)や「事業環境的には厳しいものがあるが、社員の定着のためには賃上げは必要と考えている」(一般管工事、北海道)、「新型コロナウイルス対策で仕事が減少し売り上げも悪いが、一旦雇用をカットすると再雇用は難しい。今頑張っている人をギリギリまで大切にしたいため、賃金アップは仕方なく、世の中の物価上昇にもあわせるべきと考える」(喫茶店、東京)といった声が聞かれた。

 

賃金改善の具体的な内容をみると、「ベースアップ」が46.4%(前年比10.5ポイント増)、「賞与(一時金)」が27.7%(同7.4ポイント増)となり、それぞれ増加した。「ベースアップ」は2019年度の45.6%を上回り、調査開始以降で最高の水準となった。

 

2022年度に賃金改善が「ある」と回答した企業に、その理由を尋ねたところ、人手不足などによる「労働力の定着・確保」が76.6%(複数回答、以下同)と最も多かった。企業からは、「建設労働者不足を解消するためにも賃金アップは必要不可欠」(土木工事、神奈川県)や「高校生の新卒求人が難航している。求人基本給を上昇させるためにも現従業員の賃金底上げを計画している。それにともない社内賃率の改定を行っているが、なかなか客先で承諾してくれるところが少ない」(金属プレス製品製造、福島県)といった声があげられた。また、「労働力の定着・確保」以外の賃金改善する理由としては、「自社の業績拡大」(38.0%)、「物価動向」(21.8%)、「同業他社の賃金動向」(18.4%)、「最低賃金の改定」(17.9%)が続いている。

 

依然として新型コロナウイルスの感染拡大や、燃料、原材料価格の高騰による影響が多くの企業で継続するなか、政府は賃上げ目標3%の達成に向けて、賃上げ促進税制など、企業をバックアップする姿勢を打ち出している。
本調査の結果をみると2022年度に賃金改善を見込む企業は54.6%となり、2020年度見込み以来、2年ぶりに半数を上回った。総人件費も67.1%で上昇を見込み、2021年度から12.9ポイントの大幅な増加となった。
一方、原材料価格の高騰など物価動向の影響を受けて、賃金改善に消極的な企業も散見された。特に、価格転嫁が進んでいない企業においては、賃金改善がある割合も低下する傾向がみられる。

賃金改善が「ある」と見込む理由としては、依然として「労働力の定着・確保」が最も多い傾向に変わりはない。企業の人手不足感が再び高まるなか、賃金改善の動向は今後の経済を見通す上でより重要な要素となってきている。加えて、2021年以降は原材料価格の高騰などで、企業の収益環境はより厳しさを増してきている。そうしたなか、今後の賃金改善を促進するためには、より企業の生産性を高めるための施策(DX投資、従業員へのリカレント教育など)へ注力する必要があろう。

と伝えている。

飲食業も、最も大きな課題は低賃金と労働環境の改善でありその対応が試される。
従業員確保と企業の生き残りをかけてビジネスの収益構造の改善が求められる。

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