第376話 スーパーバイザーの勘違い
少し前のことになりますが、昼食で立ち寄った店舗でのお話です。
混雑した店内は活気にあふれていました。ある牛丼チェーンの店舗です。
こんな勘違いをしているスーパーバイザーの行動に出くわしました。
このチェーンはうどん、お蕎麦も扱っています。
うどんの汁物が食べたくなって時に利用させてもらっています。その日は暖かいうどんと牛丼のセットでした。親子丼も人気のメニューです。
お客様の大半はうどん、そばと牛丼、親子丼のセットです。麺類とのコンビネーションは人気の理由のようです。ビジネス街でもあり女性客も多いお店です。これも麺類の存在の大きさを感じます。
この店は、多くの外国人のアルバイトさんも働いています。外国人アルバイトが多い中でまずまずのサービスレベルを維持しているようです。
- 昼のピークに教育?
その日は、昼のピークタイムです。明らかにスーパーバイザーと思しき人が従業員に接客の教育をしているというところです。非常に熱心に一人一人に指導をしています。
でも、混んでいる客席に指導している声が聞こえてくるではないですか。「そこは、こうして……。」「もっと、こうして……。」大きな声で「いらっしゃいませ。」緊張しているのか全員が大きな声を張り上げています。
お客様もその勢いに押されている感じです。大きな声で接客するのは活気もあり良いんですが、食べている側からするともう少し落ち着いて食事がしたいと思うものです。
スーパーバイザーが店舗で従業員にオペレーション指導をすることはよくあるシーンです。でも注意しなければいけないことがいくつかあります。
ピークタイムはお客様に専念したいものです、しかしこのお時間帯でないと指導できないことがあるのも事実です。
一生懸命やればやるほど陥りがちな出来事です。私も現役時代に同じようなことがあったのを思い出します。
- お客様は快適に食事をしているだろうか。常にお客様を意識して。
まずは、お客様が大勢いらっしゃるピークタイムです。指導するその声がお客様にどう聞こえているか、そしてお客様はどう感じるかを常に気にしながら、そう状況を判断しながらの指導が必要です。お客様の立場でその場にいると決していい気持ちのするものではありません。ましてや叱責していたりしたら、食事という本来楽しいはずの時間が台無しな時間になってしまいます。
そうです、お客様は従業員への指導の言葉なんてできれば聞きたくないのだということを理解しないといけないのです。どんな状態でも店舗の最高の状態をお客様に楽しんでいただくという決意です。
従業員への指導は、お客様の見えないところで、そのことを感じさせないようにしたいものです。
- 店舗での指導は店長の仕事。スーパーバイザーの役割は?
もう一方で気になったのはこの時店舗に店長がいるはずです。そう、本来は店長がやるべき指導を、スーパーバイザーが行なっているという構図です。
ピークタイムですから店長はラインに入り手が離せない状況です。
多分この店舗では、店長がピークタイムに全体の動きを俯瞰してみることができていないのだと思います。物理的になかなかできないのでしょう。
この絶好の機会にスーパーバーザーが店長のシフトポジションに入り店長に客観的にお店全体が、この時間帯にどんな状態になっているか見せることが大きな収穫になると思います。店長は問題点がわかれば改善はできるのです、それが店長です。
問題、課題に気づかせることです。そして、具体的な改善プランをしっかり確認して実行させることがスーパーバイザーの大事な仕事です。
店長の育成です、「魚を与えるのではなく、その釣り方を教えてあげることです」
教育は大事な仕事です、スーパーバイザーの一つ一つの仕事は非常に大事な仕事です。
その仕事がなんのために行われるのか働いている人全員でしっかりと共通認識を持つことです。
それは「お客様のために」「お客様に喜んでいただくため」に行われなければなりません。
そのことが理解できていれば自ずと行動は変わってくるものです。