コロナ禍の中で一時的に東京から離れた企業が、再び東京へ戻る動きが見られます。これは、日経新聞の「チャートは語る」セクション(2023年11月11日付)に基づいています。
東京への企業の回帰と対面業務の重視
2023年、東京23区への企業の転入が前年比13%増加し、転出超過幅は2019年以来の低水準に落ち着いています。経済の正常化と対面業務の復活により、都心の便利さが再評価されています。オフィス市場の緩和も、東京への集中傾向を促進しています。
企業の動向
介護大手ツクイの子会社であるツクイスタッフは、対面採用活動の再開を機に、2023年4月に横浜市から東京・千代田区へ本社を移転しました。下村光輝取締役は、都心の良好な交通アクセスが優秀な人材の確保に有利であると述べています。
日本経済新聞によると、2023年1月から8月にかけて、3805社が東京23区に本社機能を移転しました。これは2019年と比較して28%の増加です。
「脱東京」動向の変化
オンライン会議の普及や業績悪化による「脱東京」の動きは、一定の限界に達しているようです。転出数は減少傾向にあり、転出超過の幅も縮小しています。
特に、対面業務が多い企業の東京への流入が目立っています。サービス業、不動産業、小売業などがその例です。
地域別の動向
大阪府や愛知県からの企業の東京への流入も増加しています。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの関恵子上席主任研究員は、市場規模の大きい東京へのビジネスモデルへの回帰が見られると分析しています。
オフィス市場の影響
都心の賃料の下落とオフィスの供給過剰が、特に資金力の乏しいスタートアップにとって好機となっています。多くの小規模企業が東京に流入しています。
企業の立地戦略の多様化
東京都立大学の山村崇准教授は、地方の再評価が進み、企業の都心集中が減少しつつあると指摘しています。しかし、企業は経済合理性に基づいて動くため、集積は効率とイノベーションを促進するメリットがあります。
政策への影響
災害リスクの分散や地域経済の活性化は依然として重要な政策課題です。企業の行動原理やデータを正確に把握することが、効果的な政策実施に不可欠です。