第499話「円安逆風を乗り越えた外食3社の成長戦略:山岡家、鳥貴族、サイゼリヤの成功事例」

最近の外食産業では、円安やコスト増といった厳しい状況にもかかわらず、成長を遂げている企業が注目を集めています。特に「山岡家」「鳥貴族」「サイゼリヤ」の3社は、巧妙な経営戦略で大きな成果を上げているという状況を経済アナリストの古賀真人氏が伝えています、その内容を要約してお伝えします。

 

山岡家
山岡家(株式会社丸千代山岡家)は豚骨ラーメンチェーンとして知られ、特に北海道や北関東で展開しています。同社の2025年1月期第2四半期決算では、売上が前年比34.6%増、営業利益・経常利益がともに3.2倍、純利益が3.5倍と驚異的な成長を遂げました。この成長の要因としては、人流の活発化やインバウンド需要の増加が背景にあります。また、専用アプリやSNSを活用した販売促進活動が新規顧客やリピーターの獲得に貢献し、既存店の売上高は28ヶ月連続で前年を上回っています。さらに、来店客数の増加に加え、店舗運営コストの吸収や値上げ効果もあり、1店舗あたりの月商が上昇しました。

ただし、円安による原材料費やエネルギーコストの高騰、人件費の増加といった逆風も続いており、これらのコスト増に対応するために販売管理費は増加見込みです。それにもかかわらず、業績は好調で、中期経営計画も上方修正される可能性が高く、さらなる成長が期待されています。

 

エターナルホスピタリティグループ(旧鳥貴族)
2024年5月に「鳥貴族」から「エターナルホスピタリティグループ」へ社名を変更したこの企業も、9月13日に発表された2024年7月期決算で大幅な成長を示しました。売上は前年比25.3%増、営業利益・経常利益は2.3倍、純利益は3.5倍と好調です。同社は関東、東海、関西以外の新エリアへ積極的に出店を続けており、鹿児島県や徳島県などへの初出店も成功しています。また、独自のアプリ戦略によってリピーターの獲得にも成功し、チキンバーガー専門店「TORIKI BURGER」も関西のフードコートに進出しています。

コスト増に関しては、円安やエネルギー資源価格の高騰、人件費の上昇といった厳しい状況が続いていますが、それでも業績成長を維持しています。今後、海外進出を視野に入れた社名変更が行われ、さらなる成長が期待されています。

 

サイゼリヤ
低価格で人気のイタリアンレストラン「サイゼリヤ」は、円安や物価高の影響を受けながらも一切の値上げをせず、業績成長を続けている企業です。2024年8月期第3四半期決算では、売上が前年比23.6%増、営業利益2.8倍、純利益94.9%増と非常に好調です。DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用も進めており、店舗セルフレジやQRコード注文方式を導入して運営コストの削減を実現しました。これにより、人件費や採用コストの増加にも対応しながら、業績を伸ばしています。

サイゼリヤは今後、円高局面でさらなる飛躍が期待され、10月に発表される本決算にも注目が集まります。

 

まとめ
これら3社は、円安やコスト増といった厳しい環境下であっても、独自の戦略を駆使して成長を遂げています。特に、為替の円高基調が進む中、外食産業は引き続き注目すべきセクターとなっており、各企業の今後の展開に期待が寄せられています。これらの企業は、逆風の中でも成長のノウハウを蓄積し、今後の競争力をさらに強化していくでしょう。

 

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