第517話日本のレストラン業界、2024年のトレンドと2025年の展望
コロナ禍を経て、外食産業が少しずつ持ち直している今、2024年はどのような方向に進んだのでしょうか? さらに、2025年にはどんな変化が起こりそうなのか。今回は、最新の外食トレンドや今後の見通しを分かりやすくまとめました。
2024年の注目トレンド
- 外食の回復と“非接触”サービスの定着
コロナによる行動制限が緩和され、外食産業は回復基調にあります。一方で、テイクアウトやデリバリー、モバイルオーダーなど“非接触”サービスも定着し、飲食店の新たな収益源として成長を続けています。店内飲食とテイクアウト・デリバリーの両立が当たり前になり、幅広い客層を取り込む「マルチチャネル戦略」が今後も加速するでしょう。
- デジタル技術を活用した効率化
セルフオーダー端末やアプリ決済などの導入が進み、スタッフ不足を補うためにロボットを導入する動きも広がっています。特に人手不足が深刻化する中、オペレーションをいかに効率化しながら顧客満足度を高められるかがポイントです。
- 体験型レストランとサステナブルな食体験
食そのものを楽しむだけでなく、エンターテインメント要素やストーリー性を重視する消費者が増えています。地元産やオーガニック食材を使ったメニュー、生産者との連携による産地の“見える化”、廃棄食材を再活用したメニューなど、サステナブルな取り組みが注目を集める傾向は2024年以降も続くと予想されます。
2025年の見通し
- 高齢化と健康志向への対応
日本は今後さらに少子高齢化が進むため、レストラン業界でも高齢者を意識したメニュー開発やサービス提供が重要に。減塩や低糖質など、健康志向に合ったメニューが増えるだけでなく、介護食や柔らかい食材を上手に活用する飲食店も増えていくでしょう。
- インバウンド需要の復活と“食×観光”の融合
コロナ後に回復しつつあるインバウンド(訪日外国人)需要を取り込み、地域の独自食文化や観光資源と合わせた“食体験”がより注目されそうです。多言語対応のデジタルメニューやキャッシュレス決済、外国人スタッフの採用など、海外からの利用客にスムーズに対応できる環境整備も進むでしょう。
- DXとロボティクスによる省人化・効率化
人手不足は飲食業界の根強い課題。そこで、ITやロボティクスを活用した省人化・効率化がますます加速すると考えられます。たとえばクラウドキッチン(ゴーストキッチン)を活用した新たな形の飲食ビジネスや、AIを使った需要予測による食品ロス削減など、新たなビジネスモデルの開発競争が激化するでしょう。
まとめ
2024年はコロナ禍から本格回復する一方で、テイクアウトやデリバリーなどの非接触型サービスの拡大、デジタル化によるオペレーション改革、そしてサステナブル志向に注目が集まりました。さらに2025年にかけては高齢化と健康志向を踏まえたメニューやサービス、インバウンド需要の取り込みに向けた体制整備、そしてIT・ロボティクスを活用した新しい飲食体験の提案が一層進むでしょう。
これからの外食産業は“味や接客”だけではなく、“社会的価値”や“デジタル技術の活用”も含めた総合的な魅力づくりが欠かせません。飲食店同士の競争は激しくなりますが、その先には新しいサービスや体験が豊富に生まれ、私たちの食生活をより豊かにしてくれることが期待されます。