第518話 2024年の外食動向と12月の実績
昨年2024年の外食産業の全体動向が日本フードサービス協会から発表がありました。その内容を見てみましょう。
◼️ 2024年動向
「ファーストフード」の堅調と、全体の客単価上昇で、売上は3年連続で前年を上回る。
<全体概況>
○令和 6 年(2024 年)の外食需要は、令和 5 年(2023 年)5 月 8 日以降の新型コロナ感染症の行動規制撤廃により、多くの業態でコロナ禍のダメージからの回復傾向がみられ、コロナ禍の中で健闘していた「ファーストフード」が昨年も引き続き牽引したことに加え、度重なる価格改定による「客単価の上昇」とあいまって、売上は前年比 108.4%となった。
年間を通して訪日外国人客数は大きく増加し、2024 年は過去最高だったコロナ前の 2019 年を上回り、「ディナーレストラン」などを中心に、外食の売上のプラス要因となった。
だが、コメ価格をはじめ原材料費の高騰で「値上げ」せざるを得ない状況が続いており、客単価は上昇したものの(103.9%)、一部企業では客数の伸び悩みがみられるなど、外食経営を圧迫している。
一方で、物価高騰に伴い消費者の節約志向も進んでおり、割引きキャンペーンや価格据え置きを実行する企業や、相対的に価格が安い「ファーストフード」等の企業が、堅調に推移する状況も見られた。
○業態別では、「ファミリーレストラン」(109.5%)、「喫茶」(109.0%)、「ファーストフード」(108.1%)、「ディナーレストラン」(106.6%)、「パブレストラン/居酒屋」(105.5%))など、すべての業態で前年を上回る売上となった。
続いて昨年12月の外食産業の実績です。
◼️ 外食市場12月の動向
帰省などの国内移動やインバウンドで外食需要は堅調
<全体概況>
12月は、雨天少なく天候に恵まれたうえ、年末年始が例年より長い連休で、年末帰省などの国内移動や単月で過去最高となる訪日外客数により外食需要は好調、外食全体の売上は前年比106.6%となった。一方で、仕事納めが27日となった曜日周りにより、オフィス立地の飲酒業態などの売上はほぼ横ばいとなった。
<業態別概況>
◆ファーストフード業態(FF)
- FFは全体売上106.5%となった。
「洋風」は、クリスマス商品の訴求により需要堅調で、売上101.7%となった。
「和風」は、高単価の海鮮メニューが好調で客単価を押し上げ、売上114.8%となった。
「麺類」は、期間限定で意外性のあるサイドメニューなどが売上に貢献し、115.9%。
「持ち帰り米飯/回転寿司」は、価格改定による単価上昇で「持ち帰り米飯」の売上は確保されたが、「回転寿司」では逆に客数減となったところもあり、全体として売上101.9%となった。
「その他」は、「アイスクリーム」がクリスマス用アイスケーキの売れ行き好調、「カレー」は価格改定による単価上昇で、売上は107.8%となった。
◆ファミリーレストラン業態(FR)
- FRは全体売上107.8%となった。
FRは、全般的に帰省などによる年末需要が旺盛で、「洋風」は、半額クーポンなどのお得なキャンペーンで集客する一方で年末向け高単価メニューを打ちだすなどにより、売上106.4%。
「和風」は、期間限定の食べ放題キャンペーンなどが集客増に貢献し、売上111.6%。
「中華」は、創業記念キャンペーンなども好調で、売上112.1%。
「焼き肉」は、土日数が少ない曜日周りが影響し、売上は102.8%に留まった。
◆パブ・居酒屋業態
- 飲酒業態は、全般的に忘年会の事前予約が好調で、帰省客で賑う店もあったが、仕事納めが27日と例年より早く、休前日の少ない曜日周りでオフィス立地の店を中心に予約以外の集客が伸びず、売上はほぼ横ばいの101.0%。
◆ディナーレストラン業態
引き続き好調のインバウンド需要に加えて、帰省などによる年末需要も堅調、インフルエンザの流行や人手不足がマイナス要因となったものの、売上は104.6%。
◆喫茶業態
- 価格改定による客単価の上昇に加え、年末が長期連休となりターミナルや観光地立地の店が好調で、年末の福袋販売なども売上増につながり、売上108.0%となった。