第533話(米国最新情報)【現地レポート】NRAショー2025に見る外食トレンドの最前線

植物肉の未来からTHC飲料、若年層マーケまで—進化するレストラン業界の今

2025年5月17日からシカゴで開催される**全米レストランショー(NRA)**には、世界45カ国以上から55,000人以上が来場予定。2200社を超える出展者が集い、食品、飲料、テクノロジー、カルチャーの最新動向が披露されるこの一大イベントの見どころを紹介します。

フェイクミートの人気に陰り?

数年前まで注目の的だった植物由来の肉。ビヨンド・ミートなど大手が躍進していましたが、最近では「消費者が思ったほど手に取らない」という現実も浮き彫りに。今年のNRAでは、その真価が問われそうです。「今後も生き残るのか、それとも一時のブームに終わるのか?」注目のカテゴリです。

ドリンク分野は革新の波が継続

飲料部門では、ノンアルコールカクテルや低アルコール飲料が引き続き注目の的に。さらに**THC入りドリンク(大麻成分を含む)**という新しいジャンルが急成長中。専門エリアでは試飲もでき、関連セミナーでは規制や消費者動向について深掘りされます。

コーヒーやエナジードリンク分野では、「ダーティーソーダ」や水分補給ドリンクなど、健康志向と遊び心が融合した新潮流も登場予定です。

「アボカド」は再ブーム到来の兆し

「Guac Heaven(ワカモレ天国)」ブースでは、トップシェフたちが登壇し、アボカドの調理アイデアやプレゼン方法を共有。ワカモレ性格診断なる体験型イベントもあり、楽しみながら学べる内容が充実。外食産業におけるアボカドの汎用性が再評価されつつあります。

■ AIとレストランテックの進化

今年のテクノロジーパビリオンでは、AI・デジタルツールの導入事例や、大手テック企業のM&Aが話題に。Oloの売却、DoorDashによるSevenRoomsの買収など、業界再編の動きが加速するなか、現場における「テック導入のリアル」が注目されています。

 

働き方改革と「カルチュラル・インテリジェンス」

人材確保が課題となる今、**文化的知性(CQ)**を高める職場づくりが求められています。従業員の定着やエンゲージメント向上に向けたセッションでは、CQの概念や実践法が紹介され、現場リーダー必見の内容となっています。

ズーマー&アルファ世代を捉えるメニュー戦略

若年層を引き付ける食のトレンドを紹介するセッションでは、大学キャンパス向けフードサービス企業の実例が登場。ヘルシー志向やSNS映え、地球環境への配慮など、Z世代とα世代の嗜好に合わせたマーケティング・商品開発の手法が共有されます。

 

減量薬「GLP-1」が変える食の未来

現在アメリカ人の6%が服用しているとされるGLP-1阻害薬は、食欲や味覚を変化させ、野菜志向を加速。こうしたユーザーに合わせたメニュー開発や量目設定が、今後の店舗戦略に影響を与えると予想されます。

 

未来の食トレンド:ベジ中心&電化厨房

アメリカ料理連盟が紹介する「2025年以降の料理トレンド」では、ベジタブル中心の献立、世界のスパイス、セビーチェなどの料理革新とともに、AI搭載調理器具や持続可能な厨房技術といった設備革新も注目テーマ。シェフや経営者にとって、料理とテクノロジーの両面から未来戦略を考えるヒントになるはずです。

まとめ

NRAショー2025は、単なる商材展示の場ではなく、食と人、テクノロジー、文化、マーケティングが交錯する知の交差点です。今回紹介したトピックは、日本の外食業界にもいずれ波及してくる可能性があります。未来のレストランを創るヒントを得たい方は、ぜひ今から目を向けておくべきイベントと言えるでしょう。

 

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