第532話世界で勝つ!日本食が海外市場で成功するためのマーケティング戦略とは?
寿司、ラーメン、照り焼き――。世界中で親しまれる日本食。今では「健康的」「おしゃれ」「品質が高い」といったブランドイメージを武器に、日本食はグローバルフードの仲間入りを果たしています。
では、そんな日本食がどうやって異文化の市場に浸透し、ファンを増やしているのでしょうか?今回は、海外市場における日本食の最新マーケティング戦略を、成功事例とともにご紹介します。
- 現地パートナーとの提携が成功のカギ
海外での出店において、信頼できる現地パートナーとの提携は極めて重要です。例えば、丸亀製麺がインドネシアで成功した背景には、地元で小麦の製粉を手がける企業「Sriboga社」との提携があります。このパートナーはピザハットの運営経験もあり、現地での店舗展開ノウハウを持っていました。
こうした提携により、調達・物流・人材育成・店舗運営までの流れをスムーズに構築することができ、結果として現地展開を加速させました。
逆に、現地の文化や食習慣を無視した“押し売り型”の進出は、失敗の原因になりがち。海外で成功するには、「日本式」に固執せず、現地目線での運営と柔軟性が求められます。
- 「日本らしさ」と「現地ニーズ」の絶妙なバランス
ブランディングにおいては、「本場の日本の味」をどのように見せるかがポイントになります。たとえば、アメリカ市場では「ヘルシーでスタイリッシュな日本食」というイメージが定着しており、ビーガンメニューやグルテンフリー商品など、健康志向の高い顧客層を狙った戦略が有効です。
一方、タイなどアジアの成長市場では、「日本=安心・高品質」というイメージが根強く、高級路線の和食店が富裕層に受け入れられています。
また、イスラム圏ではハラール対応が信頼獲得の前提条件。原材料や調味料、調理法まで厳格な基準を守ることが、マーケティング以前の基本戦略となります。
要は、日本食の魅力を「その国の価値観」に合わせて翻訳することが、ブランディング成功の秘訣なのです。
- SNSとインフルエンサーの活用が新常識
デジタル時代の今、海外展開における情報発信の主戦場はSNSです。InstagramやTikTok、Facebookなどを通じて、“映える”和食の写真や動画が若年層の心をつかんでいます。
たとえば、香港では農林水産省の支援を受けて「縁起魚(Lucky Fish)」というプロモーションキャンペーンが展開され、旧正月に合わせて日本産の魚介類が「幸運を呼ぶ料理」として人気を博しました。
また、あるラーメン店では「巨大唐揚げトッピングラーメン」を打ち出し、SNSで拡散されて大行列に。アメリカ・ニューヨークでは寿司店が開店前にわざと行列を作る「行列戦略」で話題を呼び、テレビやSNSで注目されてブームを巻き起こした例もあります。
重要なのは、「おいしそう」だけではない、“体験としての日本食”をどれだけ印象付けられるかという点。写真・動画のインパクトや、ストーリー性を持たせた発信が効果的です。
4 コンテンツと食のコラボが生む相乗効果
海外では、日本のアニメ・漫画・ゲームといったカルチャーと組み合わせたマーケティングも大きな効果を生んでいます。たとえば、南米ペルーでは「NARUTOラーメン」や「ポケモンカフェ」といった“テーマ型日本食レストラン”が登場。アニメファンを中心にSNSで話題となり、店内は連日満席に。
これは単なる食事ではなく、「日本の世界観を体験する場所」としてのブランディングが功を奏した好例です。
こうした「日本カルチャー×日本食」の掛け合わせは、若年層をターゲットにする上で非常に効果的であり、エンタメとしての食の可能性を広げています。
まとめ:鍵は「現地理解」と「柔軟な戦略」
日本食が海外で受け入れられるかどうかは、味や見た目だけでなく、「現地の人の生活にどうなじむか」がカギになります。現地パートナーとの連携、柔軟な商品開発、SNSでの認知拡大、そしてカルチャーとの融合――これらを戦略的に組み合わせることで、日本食は単なるブームを超えて、生活の一部として根付いていきます。
今後もますます広がる世界の日本食市場。あなたの好きなあのメニューも、いつか世界のどこかで“現地バージョン”として愛されているかもしれません。