第531話「飲食店経営の未来形!2025年に注目すべき5つの新業態&出店戦略」

2024年から2025年にかけて、日本の飲食業界では新業態の開発と出店戦略の多様化が進んでいます。人手不足やコスト高といった課題に直面する中、各企業は柔軟な発想とデジタル技術を活用し、持続可能なビジネスモデルの構築を目指しています。今回は、注目すべき新業態と出店戦略のトレンドを紹介します。

  1. 無人・省人化店舗の拡大

人手不足対策として、無人店舗やセルフサービスの導入が進んでいます。AI搭載の券売機やIoT技術を活用した完全無人営業の店舗が登場し、深夜帯限定営業の無人ラーメンスタンドでは、注文から商品受け取りまでを自動化。人件費を抑えつつ、品質の高い商品提供を実現しています。このような次世代型店舗は、ラーメン以外にも蕎麦やカレー店などでの展開が期待されています。

  1. 柔軟な出店モデルと間借り営業

出店コストを抑えるために、物件の出店条件を設けず、統一的な内装デザインにもこだわらない方針をとるチェーンが増えています。例えば、低価格うな重チェーン「鰻の成瀬」は、居抜き物件や他業態との間借り営業を活用し、急速な店舗拡大を実現しています。また、昼はテイクアウト専門、夜は居酒屋といった形で1店舗で複数業態を運営する事例も増加。初期投資を抑えつつ、空きリソースを有効活用する戦略が注目されています。

  1. デジタル技術を活用したスマート出店

デジタル技術の導入により、フランチャイズ本部と加盟店間のコミュニケーションが円滑になり、効率的な運営が可能となっています。オンラインでのトレーニングやサポートが充実し、加盟店オーナーは必要な情報を迅速に取得できます。また、デジタルマーケティングを活用することで、顧客の獲得や維持が容易になります。さらに、スマートフードコートの導入により、モバイルオーダーで注文・決済から席予約までを完結させ、待ち時間の解消を図る動きも見られます。

  1. 健康志向と代替食品の導入

健康志向の高まりを受け、グルテンフリーや大豆ミート、白砂糖不使用といった代替食品を取り入れたメニューが注目されています。例えば、小麦粉の代わりに米粉を使用した「米粉パンケーキ」や、パスタに豆ヌードルを選択肢として加えることで、健康志向の顧客層を取り込む動きが進んでいます。これにより、「健康で美味しく」を満たす飲食店が脚光を浴びています。

  1. 地域密着型のフランチャイズ展開

地方発の有力チェーンが大手資本と組んで全国展開を目指す動きも活発化しています。北九州発祥の「資さんうどん」は、外食大手すかいらーくホールディングスが全株式を取得し、グループ傘下に収めました。買収後すぐに関東進出を果たし、2024年12月末にオープンした関東1号店は初日から行列ができる盛況ぶりを見せています。すかいらーくは2025年に資さんうどんを新たに21店舗出店する計画を発表しており、既存店舗のリブランディングによるスピーディな多店舗展開を進めています。

これらのトレンドは、飲食業界が直面する課題に対する柔軟な対応策として注目されています。今後も、デジタル技術の活用や消費者ニーズの多様化に対応した新業態の開発が進むことで、持続可能なビジネスモデルの構築が期待されます。

 

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