第557話残暑と節約志向の9月、光る“再現性”のある業態とは?

――外食産業9月度動向から見える次の一手 ――

2025年9月の外食市場は、「節約」と「選別」の月となった。
日本フードサービス協会(JF)の発表によると、外食全体の売上は**前年同月比104.8%と引き続きプラスを維持したものの、客数の伸びは101.3%**にとどまり、明らかに消費者の財布の紐は締まっている。

背景には、長引く物価上昇と残暑の影響がある。特にレストランや居酒屋業態では、夏休み明けの一服感に加え、台風によるキャンセルもあり客足が鈍化した。一方で、「ファーストフード(FF)業態が売上106.1%」と全体を牽引。業態の明暗が鮮明に分かれる月となった。

勝ち筋は「再現性」と「価格設計」

好調のFFでは、和風・洋風ともに期間限定メニューや値下げ戦略が奏功。「和風FF」は売上110.1%と突出した伸びを見せ、気温を読んだ冷メニュー投入やコラボ商品の成功が光る。
つまり、“季節・価格・話題性”の三拍子を短サイクルで再現できる業態構造こそが、今の市場で強い。

ファミリーレストラン(FR)は売上102.5%。客数は98.8%と苦戦したが、低価格業態の底堅さが目立った。「焼肉」は92.7%と大幅減となったが、逆に言えば“高単価層の戻りの鈍さ”が露呈した格好だ。

今後の多店舗展開を考えるうえでは、「価格帯をどこに据えるか」ではなく、「価格に見合う理由をどう設計するか」が問われる。単なる値下げではなく、顧客が“納得して払える体験価値”をどう再現できるかが、店舗の再現性を左右する。

飲酒・夜業態は苦戦も、体験型で再浮上の兆し

パブ・居酒屋業態は売上100.9%。宴会需要はまだ戻り切らず、個人客中心の小口利用が主軸となっている。だが、好例もある。リーズナブル価格やテーマ性を持った「新型居酒屋」は着実に客数を伸ばしており、“飲食+体験”のハイブリッド型モデルが浮上しつつある。
多店舗化の観点から見れば、ここにこそブランド再構築の余地がある。メニュー単価を下げずとも「滞在価値」を上げる設計——たとえば店舗内コミュニティや限定イベントなど、顧客との接点を仕組み化する発想が求められる。

注目は「喫茶・カフェ」業態の躍進

売上107.9%と好調を維持したのが喫茶業態だ。ターミナル周辺や大阪・関西万博関連エリアでは、インバウンド客も取り込みながら堅調な集客を続けている。
客単価は108.4%と高水準。単なる「コーヒーを飲む場」から、「時間を過ごす場」「ブランド体験の場」への転換が進んでいる。
この流れは、FC化や多店舗展開を志す中小企業にも大きなヒントとなる。“小空間×高満足度”を実現する業態は、投資効率が高く、再現性の高いビジネスモデル
として注目に値する。

店舗拡大戦略に必要なのは「感度×構造」

外食全体で見れば、店舗数は前年同月比100.8%と微増。つまり「新規出店の勢いは続く」が、「既存店の生産性アップ」がより重要になってきた。
この状況下で経営者が取るべき戦略は、
1️⃣ 現場データをもとにした再現性の高い業態構築
2️⃣ ロイヤルティを生む体験価値設計
3️⃣ FC化・多店舗展開に耐えうる教育とマニュアル整備
である。

9月のデータから見えてくるのは、「規模を追う時代」から「構造を磨く時代」への転換だ。節約志向の中でも選ばれ続ける店には、“顧客の共感を再現できる仕組み”がある。
それを支えるのが、データ・人材・仕組みの三位一体マネジメント。FMDIとしては、今後もこの構造設計を軸に、外食業の未来を共に創っていきたい。

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※出典:一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査(2025年9月度)」

 

 

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