第465話 2023年実績と12月実績
日本フードサービス協会が2023年を振り返っています。
コロナの「5類」移行により、外食需要は回復傾向も、物価高など厳しい経営環境
<全体概況>
○ コロナ禍4年目となった2023年は、1月にはコロナ第8波があったものの、3月に「マスク着用の緩和」、5月には新型コロナ感染症の感染症法上の位置づけを「5類」に移行(以下、「5類」移行)など、コロナによる行動制限が緩和から解除へと進み、社会経済環境は「ポストコロナ」へ移行した。
人流が戻り、年間を通して外食需要の回復基調が継続したことで、全体売上は前年比114.1%、2019年比(以下19年比)107.7%となった。
4月に入国規制などの水際対策が終了し、訪日外国人数が回復してインバウンド需要が拡大したことも売上増の一因となっている。 ただ売上の回復傾向は続いているものの、「客単価の上昇」(全体前年比107.3%)によるところが大きく、「客数」についてはまだ19年の水準まで回復していないと推定される(全体19年比90.9%注1))。
また「人手不足の常態化」など、外食産業を取り巻く環境は、「ポストコロナ」となっても依然厳しい状況が続いている。
○ 業態別では、「ファーストフード」(110.4%/120.1%)(前段 2022 年比/後段 2019 年比、以下同様)は、コロナによる行動制限がなくなった後もテイクアウトとデリバリーの定着などで好調を維持している。
一方で、「ファミリーレストラン」(117.5%/98.9%)、「ディナーレストラン」(122.7%/93.6%)、「喫茶」(120.6%/96.2%)、「パブ/居酒屋」(134.9%/66.5%)等の店内飲食が主体の業態は、回復基調にあるもののコロナ前の売上水準には戻っていない。
特に「パブ/居酒屋」はコロナの5 類移行などで、忘年会など宴会需要も回復しつつあるが、店舗数自体が減少しており(19 年比69.0%)、 かつての水準には未だ遠い状況となっている。
日本フードサービス協会が昨年12月の実績を発表しています。
<外食市場12月の動向>
5類移行後初の年末は、法人の忘年会なども回復傾向
<全体概況>
12月は、コロナの「5類」移行後初めての年末となり、天候にも恵まれ、忘年会やクリスマス、帰省などで外食需要が好調に推移し、インバウンド需要も引き続き好調で、外食全体の売上は前年比111.0%、19年比111.2%となった。特に、4年ぶりにコロナによる行動制限のない忘年会シーズンを迎え、飲酒業態では法人宴会の回復が見られた。
<業態別概況>
■ファーストフード業態
・FFは好調が継続し、売上109.5%、19年比では123.0%となった。
「洋風」は、期間限定品やクリスマス需要が好調で、売上109.7%となった。
「和風」は、テレビCMの効果もあり、季節限定メニューの売れ行き好調で、売上113.6%。
「麺類」は、飲み会後の利用が増えたほか、保温を工夫した持ち帰り商品が好評で、売上110.8%。
「持ち帰り米飯/回転寿司」は、「回転寿司」でクリスマスや年末の持ち帰り需要や価格が高めの商品が堅調で、客単価が上昇、売上102.6%となった。
「その他」は、「アイスクリーム」のクリスマス用アイスケーキが好調で、売上109.7%となった。
■ファミリーレストラン業態
・FRの全体売上は112.4%、19年比では103.7%となった。
節約志向により低価格商品に対する根強い需要がある一方で、年末年始には高価格のキャンペーン商品なども好調で、
「洋風」は売上112.0%。
「和風」は、宴会需要の回復もあり、売上113.8%。
「中華」は、持ち帰り需要の堅調とビール消費の増大で、売上113.1%。
「焼き肉」は、引き続き食べ放題業態が好調で忘年会需要の復活もあり、売上111.0%。
■パブ・居酒屋業態
飲酒業態は、4年ぶりにコロナによる行動制限がない忘年会シーズンとなり、大規模な宴会は少ないものの、中小規模宴会が増え、これまで戻りが鈍かった法人の忘年会も回復傾向となり、「パブ・居酒屋」の売上は118.2%、19年比で69.1%となった。
■ディナーレストラン業態
引き続きインバウンドの需要が旺盛で、法人宴会の回復もあり、売上113.9%、19年比95.0%となった。
■喫茶業態
オフィス街、商店街、および観光地の店舗が比較的好調で、アルコール類を提供する一部業態では、忘年会需要を取り込んで好調、客単価の上昇とも相まって売上113.3%、19年比100.9%となった。