第481話サイゼリヤが値上げしない理由とその意義
東洋経済ONLINEが5月18日 サイゼ「ミラノ風ドリア」値上げしない深い理由と題して伝えています。
その内容を要約してお伝えします。
サイゼリヤの創業者である正垣泰彦氏は、「ミラノ風ドリア」を値上げしないという強い決意を持っています。彼は自分を怠け者で自分勝手、愚かな人間だと率直に認め、その弱さと戦いながらも、「安くておいしいもの」を提供することに情熱を注いでいます。
サイゼリヤの方針は、60年以上にわたり「安価でおいしい商品」を提供し続けることです。値上げを避け、むしろ値下げを行うことで、価格以上の価値を提供することを目指しています。しかし、企業としての利益を追求する誘惑も存在します。例えば、「ミラノ風ドリア」を300円から350円に値上げすれば、売り上げは減少するかもしれませんが、粗利は増加します。しかし、正垣氏はこれを行いません。その理由は、お客様のため、人のためにならないからです。
サイゼリヤがフランチャイズ展開をしていない理由も、この方針に根ざしています。フランチャイズは加盟金やロイヤリティを外部の人々から受け取ることで成り立ちますが、サイゼリヤの薄利多売の理念と矛盾します。加盟店が「もっと儲けさせろ」と要求しても、サイゼリヤはそれに応えられないため、直営店のみの展開を続けています。
正垣氏は「肉体」と「精神」の戦いを強調しています。「肉体」は感覚や感情、欲望に支配され、「不快」を避け快適さを求めます。一方、「精神」は理想を追求します。この二つの間で葛藤が生じることが、人間の進化の過程だと考えています。例えば、生活習慣病を避けるためにカロリー摂取を控えようとする一方で、欲望に負けて食べてしまうという現象です。
彼は自己中心的な欲望と戦い、少しでもまともな人間になるために努力し続けることが重要だと説きます。「自分はまだまだ駄目だ」と反省し、「明日こそは頑張ろう」と前向きに進むことが、人間の進化の鍵だと考えています。
正垣氏は毎朝、「1人反省会」を行うことを日課としています。日々の言動を振り返り、サイゼリヤの基本理念と照らし合わせて反省します。この反省が、彼の自己成長と企業の理念を支える原動力となっています。
サイゼリヤの理念は、「人のため、正しく、仲良く」という基本理念に基づいています。この理念を実現するために、自分中心の欲望を抑え、反省を通じて正しい方向に進むことが求められます。
正垣氏は反省を「人生で一番幸せな時間」と感じています。反省することで、自分が正しい方向に進んでいることを確認できるからです。間違いを認め、軌道修正を行うことが自己成長の一歩となります。反省を通じて、自己中心的な本能を抑え、「人のため」に生きることができるようになるのです。
反省は、自分の至らなさを見つめ直し、正しい方向に進むための重要なステップです。サイゼリヤの理念に共感し、反省を通じて自己成長を続けることが、企業の成功と個人の幸せを紡いでいく鍵となるのです。