第567話2026年のFC業界とM&A動向
― FMDI・坂本の視点で見る潮流と展望 ―
2025年末時点のデータや業界レポート、海外の動向を総合すると、2026年はフランチャイズ(FC)業界とM&Aがこれまで以上に密接に絡み合う一年になる予感が強まっています。私はこの1年を「成熟と再編のフェーズ」と位置づけており、日本と海外の両面からこの潮流を整理すると、“選ばれる本部”と“資本の活路を求める企業”が勝者になる時代だと考えています。
1|フランチャイズの拡大フェーズは質と構造へ
まず、2026年のFC業界の大方針として、量的拡大から質的成長へシフトする動きが顕著です。日本国内でも「フランチャイズ・ショー 2026」や各種経営支援展示会・セミナーが開催され、本部と加盟店の関係性やDX導入、教育・採用、本部の見極め方──つまり仕組みと再現性にフォーカスした議論が増えています。
こうした流れは、単に加盟店舗を増やせばよいという従来の発想ではなく、「加盟後に成果が出る仕組み」を持つモデルに市場の支持が移っていることを意味します。実際、海外でもフランチャイズの成長トレンドとして資本コストの高さや規制環境を踏まえつつ、リーンで収益性の高いモデルが評価される傾向が見られます。
この背景には、消費者の価値判断がシビアになり、体験・価格・品質のバランスが求められる時代という変化があります。フランチャイズ本部は、こうした市場期待を踏まえて、オペレーション、教育・採用、顧客価値提供の位置づけを再定義する必要があります。
2|M&A市場の動きは“質の見極め”と“選択と集中”
一方、M&A市場は2026年にさらに活性化すると複数の海外レポートが予測しています。特にレストラン市場では、高パフォーマンス成長コンセプトと不振資産の両方で取引が増える可能性が指摘されています。
これは、資本が成長性・ブランド力・収益性をより厳しく見極めて投資判断を下すフェーズに入っていることを示唆しています。日本でも2024〜25年にかけて大手企業による中規模チェーンの買収事例が話題になりましたが、2026年はこうしたチェーン再編・選択と集中の動きが加速する年と見るべきです。
M&Aの文脈で注目すべき点は次の3つです。
① 大手資本の再編・ブランド統合
規模のメリットやブランドポートフォリオの最適化を求める動きが続き、多ブランド戦略や統合効率の追求が進むでしょう。
② 中堅〜中小ブランドへの資本シフト
資本市場は「実績あるフランチャイズモデルと安定収益」を高く評価するため、その基準を満たす中堅企業こそM&Aの対象となりやすくなります。
③ 多角化のための異業種M&A
飲食・小売・サービス業がクロスオーバーし、販路拡大・顧客接点強化を目的とした戦略的M&Aも出てくると見られています。
3|2026年を勝ち抜く本部戦略の条件
では、FC本部・フランチャイズ本部として2026年をどのように迎えるべきか。坂本の視点として重要だと考えている戦略軸を整理します。
- 再現性・成果が出る仕組みの確立
加盟後の成果が出る仕組みづくりは不可欠です。
- 加盟前後での成果指標の明確化
- 教育制度・評価基準の構築
- PL・KPIと現場をつなぐロジック
これは短期的な加盟数よりも「本部価値の本質」を高め、M&A市場でも評価される資産となります。
- ブランド・価値提案の強化
消費者ニーズの変化(価値・価格・体験)を踏まえ、
「なぜそのブランドが選ばれるのか」を言語化し、体系化することが必要です。これは本部力として不可欠であり、加盟希望者・資本側双方に対する説得力になります。
- 資本戦略と事業設計の融合
M&Aを選択肢として捉えるなら、資本市場の評価軸を把握し、自社を磨く戦略設計が必要です。
- 財務の整理
- 成長ドライバーの明確化
- デューデリジェンス対応
こうした準備は、2026年のM&A環境をチャンスに変えるための必須条件です。
■まとめ:2026年は“成熟と戦略の年”
2026年は、“成熟したフランチャイズの価値”が強く問われる年です。単なる店舗数競争は影を潜め、仕組み・価値・収益性がフランチャイズ戦略の中心となります。それは同時に、M&A市場で評価される資産基盤と直結しています。
坂本視点で言えば、2026年は
「実装できる本部力」 × 「資本ニーズへの応答」
この両軸を備えた企業が勝者になる年です。FMDIとしてもこの潮流を捉えながら、クライアント企業の仕組み構築と戦略設計を伴走していきます。
