第278話 大量閉店と5月実績
コロナ禍で大きな打撃を受けて、外食の業績も大きく減少しています。
その中でも大きな差が出ている事はご承知の通りです。
5月実績を見ても、外食全体では67.8%の前年比でしたが業態別に見るとファーストフードの90.7%からパブ、居酒屋の10.0%と大きく差が開いています。
その中でファミリーレストランが大きく揺れています。
ファーストフードでも洋風ファーストフードの110.9%に比較してファミリーレストランは50.6%と大きな差が開いています。
ファミリーレストランのチェーンで大量閉店が発表されています。
最も厳しい局面にあると言えます。
ロイヤルホールディングスの「ロイヤルホスト」「てんや」の約70店舗の閉店計画。
すかいらーくグループの7月1日からの深夜営業の廃止。そして「ジョナサン」を約200店舗を順次閉店。
中国、四国、九州で展開する「ジョイフル」が200店舗を閉店すると発表している。現在の767店舗のなんと26%を閉店することになる。
店内飲食がメインの業態で、一等立地に大箱での営業が必要であることから高額賃料が足かせになった事は否めない。
また、ファーストフードの様にテイクアウトに適した商品も多くないことが大きな差となって現れている。
また、客層も現在のファミリーレストランはファミリーというよりは高齢者やおひとり様が主要顧客となって来ていたことも、今回のコロナ騒動で高齢者の外出自粛が大きく響いたとも言える。
今回のコロナ禍でファミリーレストランという業態が一つの転換点に来ている事は間違いなさそうです。
日本フードサービス協会から5月の実績が発表になっているので見てみましょう。
以下日本フードサービス協会資料から
<外食市場5月の動向>
新型コロナウイルスの影響で依然厳しい状況が続く
<全体概況>
5月も、新型コロナウイルスの影響により深刻な事態が続いた。4月に全国に発令された「緊急事態宣言」は5月14日には39県で解除されたものの、大阪圏は21日、東京圏は25日まで解除が延期されたことで、多くの外食店舗では営業時間の短縮や臨時休業が続いた。解除後も繁華街立地、夜の時間帯、休日等では客足の戻りは鈍く、5月の外食全体の売上は前年比67.8%と、4月よりいくぶん回復したものの大幅な減少となった。
「持ち帰りの有無」と、「休業店舗の多少」が、業態間の明暗を分け、テイクアウトに強みのあるFFではむしろ好調なところのある一方で、休業せざるを得ず、持ち帰り対応に不向きな飲酒業態などは4月に続き、壊滅的な打撃を受けた。
<業態別概況>
■ファーストフード業態
・FFでは、4月に続き、商業施設立地の店舗では休業したところもあったが、多くは時間短縮の中で営業を続けた。FFでは特に洋風の「持ち帰り」需要が強みとなったほか、宣言解除後の店内飲食の回復もあり、全体売上は90.7%となった。
「洋風」は、4月以上にデリバリーを含む持ち帰り需要が伸び、売上は110.9%と前年を大幅に上回った。
「麺類」と「その他」は、引き続き商業施設立地店の休業などが影響し、それぞれ売上50.6%、78.8%となった。
「和風」と「持ち帰り米飯・回転寿司」は、持ち帰り需要の下支えと、回転寿司の店内飲食の回復もあり、売上はそれぞれ84.8%、90.0%となった。
■ファミリーレストラン業態
・FRも、4月に続き、商業施設立地の店舗では休業したところもあったが、多くは時間を短縮して営業を続けた。宣言解除後の店内飲食が徐々に回復する中、引き続きテイクアウト、デリバリーの強化も行われ、売上回復に寄与したが、外出自粛や、営業時間短縮による落ち込みをカバーできず、全体売上は50.6%と前年を大幅に下回った。
テイクアウト・デリバリーを強化している「中華」や「洋風」は、4月より売上の減少幅が縮小し、それぞれ74.2%、48.1%。
「和風」はシニア層の顧客の戻りが鈍いこと等から、売上40.5%。
「焼肉」は休業店舗が徐々に再開し、売上は50.9%にまで戻った。
■パブ・居酒屋業態
・飲酒業態は、4月に続き多くの店舗が休業した。テイクアウトやランチ営業を行う店もあったが、それだけでは売上が立たず、また宣言解除後に店を再開しても、外出自粛が続く中、ほとんど集客できない店もあり、「パブ・ビアホール」は売上4.1%、「居酒屋」は11.5%と前月に引き続き壊滅的な状況となった。
■ディナーレストラン業態
・ディナーレストランも、新しく取り組んだ高価格帯の弁当が好評で売上を下支えしたところもあったが、4月に続き休業する店舗が多く、売上は28.5%となった。
■喫茶業態
・4月に続き、緊急事態宣言下の地域では休業する店舗が多く、宣言解除後もビジネス街立地では再開後の集客が振るわず、売上は33.2%となった。