第305話 ワーケーションは定着するか。
2021年最初の話題はやっぱりコロナ関連からはなかなか離れられないですが、ある意味前向きな内容であろう。
コロナ禍でテレワークが認識され拡大を続けています。その延長線上には当然場所を選ばないという考え方から観光地、リゾート地でもテレワークは可能とばかりにワーケーションという動きが加速し始めました。そんな内容を日経新聞の記事を引用しながらお送りする。
コロナ禍で訪日客が消失するなか、観光業界はワーケーションの広がりに期待をかける。特にリゾート地にとっては閑散期や平日の客室稼働率が上がるメリットがある。
自治体も、観光地の集客力を見込んで体制作りにいそしむ。
長野県は2018年度から「信州リゾートテレワーク」との名称で、ワーケーションの推進に取り組んでいる。軽井沢町や茅野市など県内12カ所のモデル地域を指定して、ワークスペースの整備や体験会、PR活動などを実施してきた。
数人から数十人単位でチームビルディングや研修をする企業への売り込みに力を入れる。地域ごとに民間企業やまちづくり会社が実施主体となり、地域資源を生かした形でプラン作りをする。
全国で多くの自治体や観光関係者が「ワーケーションの誘致は21年度から本格化する」との見方を示す。競争相手が増えるなか、土地の魅力と働きやすさを発信できないと集客は厳しそうだ。
ワーケーションに商機があるとにらむ企業同士の連携も進む。西武ホールディングス(HD)は23日、ワーケーションを主軸とした新事業でJR東日本と提携したと発表した。コロナ禍で首都圏で鉄道収入の回復が見込みづらいことから、地方での地域連携も創出しながら収益拡大につなげる狙いだ。
プリンスホテルではワーケーションのノウハウを擁する米セールスフォース・ドットコムの日本法人とも連携し、生産性を高めるためのシステムやアプリ開発に取り組む予定だ。
ワーケーションに対する消費者の関心は高い。日本旅行、ウェルビーイング・ジャパン(東京・中央)、あしたのチーム(同)が8月に共同実施した調査によると、テレワーク制度を導入する企業の会社員の約6割が、ワーケーションに「非常に興味がある」「少し興味がある」と回答した。と日経新聞も伝えている。
だが現状は「個人事業主やフリーランスで働いている方の利用が多い」(東急不動産)。普及には企業、観光産業双方の対応が求められる。
観光関係者に求められるのは受け入れ体制の構築だ。中小の観光関係者が集まり町ぐるみで誘致したいならば、街中に働けるスペースを設ける取り組みが不可欠となる。
「旅行会社が地域に根ざしたプログラムを作ることなども重要だ」(観光業界に詳しい矢嶋敏朗日本大学准教授)
「自治体にはネットワーク環境に対する理解が薄い」という企業の声もあった。通信環境の整備や、液晶モニターなど備品も求められる。
一方、ワーケーション導入を検討する企業の課題は、まず就業制度を整えることだ。労務問題に詳しいTMI総合法律事務所の近藤圭介弁護士は「休暇取得推進から発想するのではなく、リモートワークから発想しないといけない」と話す。
休暇中に仕事をすると、それは「休暇ではない」(近藤氏)。労働基準法上、休暇は原則1日単位。労使協定で時間単位での休暇も認められるが、年5日以下に限られる。あくまでテレワーク勤務として制度設計する必要がある。情報漏洩リスクへの対策も不可欠だ。
従業員間の待遇格差への配慮も要る。工場勤務者など一部社員が利用できないなかで導入しても問題はない。だが近藤弁護士によると、同じ業務内容にもかかわらず非正規社員が利用できないようにすると、パートタイム・有期雇用労働法が禁じる、不合理な待遇にあたる可能性があるという。と伝えている。
ご覧のように日経新聞の記事では、まだまだ環境を整備する必要があると訴えている。
しかし、地方自治体、観光業界含めて今年加速していくことが考えられる。
ここには当然外食も関係するわけですから、コロナ後の大きな弾みとなることを期待する。