第568話(米国最新情報)ヤム・ブランズ初の食品トレンドレポートが示す「2026年の外食の姿」

外食産業では毎年この時期になると、さまざまな「フードトレンド予測」が発表されます。
その中で今回、私が非常に興味深く感じたのが、ヤム・ブランズが初めて発表した「2026年食品トレンドレポート」です。

タコベルKFCピザハットといった巨大ブランドを束ね、世界6万2,000店舗のデータを持つ企業が「次に何が起こるか」ではなく、「なぜそうなるのか」に踏み込んだ点は、私たち現場型経営者にとって大きな示唆があります。

キーワード①「ミーミーミー経済」──外食は“個人最適”の時代へ

レポートで最初に示されたのが「ミーミーミー経済」。
一人客の注文比率は2021年の31%から、2025年には47%へと急増しています。

注目すべきは、一人客の多くが「10〜30ドルの“プレミアム価格帯”」で、スナックやドリンクを楽しんでいる点です。
もはや「一人=安く済ませる」ではありません。

さらに、2人利用でも31%が「自分好みにカスタマイズしたい」と回答。
KFCの新業態「Saucy」では、4,000通り以上の組み合わせを用意し、こうした欲求を正面から受け止めています。

👉 FCや多店舗展開では「標準化=画一化」ではなく、「選べる余白」をどう設計するかが重要だと感じます。

キーワード②「選択療法」──人は“選べる”ことで満足する

次のトレンドが「選択療法」。
タコベルの「Build Your Own Taco」は、72%という非常に高い好意的反応を得ています。

興味深いのは、利便性重視の“お任せメニュー”よりも、自分で組み立てられるメニューの方が評価が高いという点です。

また、ソースの存在感も見逃せません。
KFCでは、成功したメニューテストの71%に特定のソースが使われており、ソースは「日常に刺激を与える力が2.4倍高い」と分析されています。

👉 日本の外食でも、「味の幅=商品力」ではなく、
「選ぶ体験=価値」として再設計する余地は大きいはずです。

キーワード③「バイブマシング」──価格より“気分”が選択を左右する

物価上昇が続く中、消費者は価格だけでなく「感情的価値」で外食を判断するようになっています。
見た目が良い、気分が上がる、ちょっと楽しい──そうした要素が意思決定を左右します。

特に印象的だったのは、「クールさ」が今やQSRブランドの成長要因で、
「おいしそう」よりも上位に来ている点です。

68%の人が「平日の午後に気分を上げるためにスナックを食べる」と回答し、
ドリンクは“低リスクで確実に満足できる贅沢”として急成長しています。

タコベルが展開する「Live Mas Café」は、その象徴でしょう。

👉 飲み物・間食・軽い贅沢は、客単価アップではなく“来店理由づくり”の武器になります。

坂本の視点:2026年に向けた外食経営のヒント

このレポートを通じて私が感じたのは、
「外食は腹を満たす場から、自己表現と感情回復の場へ進化している」ということです。

多店舗展開・FC化を目指す経営者ほど、

  • どこまで標準化し
  • どこに“選べる自由”を残すのか
  • 体験価値をどう仕組みに落とすのか

を真剣に考える必要があります。

ヤム・ブランズのトレンドレポートは、
「未来予測」ではなく「今すでに始まっている変化」を教えてくれました。

2026年を見据えた外食経営。
その答えは、すでにお客様の行動の中にあるのかもしれません。

*次回は米国KFCの新業態「Saucy」をレポートします。

 

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