第273話 出口戦略とニューノーマル(新常態)

コロナウィルスも北海道と東京周辺の一部地域は緊急事態宣言の解除に至っていないが、全国ほとんど

緊急事態は解除となった。日本だけでなく世界中が出口に向けて動きつつある。

 

しかし、コロナ禍後は今までとは違う日常となる。特にオフィス、工場、小売、飲食、サービスの現場もコロナウィルスが隣にいるという新しい常態いわゆるニューノーマル(新常態)に対しての知恵が求められる。

どこも手探りでの再開である。各商業施設も再開を発表している。イオンは28日から全国のショッピングセンター「イオンモール」の全142施設で全館の営業を再開すると発表した。全てのイオンモールが全館営業は2ヶ月ぶりとなる。

 

外食チェーンも緊急事態宣言が解除された地域から順次中止していた営業を再開する。

どこも、ニューノーマル対応を模索している。3蜜を避けて営業時間は各自治体の要請に従い、テーブルや椅子の感覚をあけてお客様同士の距離を確保するソーシャルディスタンスを守る工夫をすることで安全、安心を確保する。効率よりまずは安全、安心優先と言える。

 

この動きは日本のみならず世界でも同様な動きを見せている。

 

日経電子版で紹介されていたその事例をいくつかみてみよう。

 

タイのバンコクで大型ショッピングセンターが2ヶ月ぶりにオープン。入り口で係員が手にするQRコードをスマホのカメラで読み取り「チェックイン」の文字と電話番号を登録するタイ政府が主導するアプリだ。入店時だけでなく、退店時もQRコードを読み込み、滞在時間を記録している。買い物客の動きを細かく終える仕組みで、店内で感染者が発生した場合の経路や接触者の把握に役立てるとしている。すでにタイでは8万1千店が登録している。

 

ドイツのフォルックスワーゲンの欧州最大工場では作業委員間の距離を1.5メートル以上確保できる様に制裁ラインを再配置している。今、人や物の移動も最短でできる様に配置していた通路も接触を減らすことを優先して設定している。朝礼も従業員間の距離を確保している。

 

米国のカジュアル衣料の大手ギャップは5月末までに全米の3割にあたる800店舗で営業を再開する。近距離での対面接客を禁止、トイレや、試着室も閉鎖。返品された商品は24時間以上経過してから売り場に戻す等の安全を最優先にした営業体制をしばらくは続ける。

 

中国南部の広東省のレストランでは配膳ロボットが活躍している。料理を運んできたロボットの胴体からお客様が料理を取り出し、「戻る」のボタンを押すと自動で厨房に戻る、人との接触を極力減らすことが狙いだが、他の産業でも機械化が進むことで雇用にも影響が出そうだ。

 

米国では、疾病対策センター(CDC)ガイドラインがマスクの使用の奨励や従業員の体温を毎日確認することを定め、各州が執行ルールを儲ける仕組みとなっている。

雇用主は従業員の感染対策に責任を負う形となり、4月には人の隔離対策を取らなかったとしてコロナ感染で死亡した従業員の遺族が小売大手のウォールマートを過失を理由に訴えた。ドイツ、中国も政府が企業向けの対策指針を定めている。今後日本でも雇用主の対応責任は問われてくることが考えられる。

 

米不動産会社は6フィートオフィスと呼ぶ新概念のオフィスの提案を始めた。従業員が視覚的に距離を保てる様に工夫し、廊下も一方通行とし感染拡大を防ぐための距離を確保するためにこれまでよりも広いオフィスが必要になると提案している。

 

企業、店舗の再開が本格化します。コロナウィルにまつわる従業員、顧客のリスクを抑えつつ、正常な姿に戻せるか、収束後を見据えて出口戦略をニューノーマル(新常態)という中でどう適応できるか、経営者の手腕が問われている。

FMDIフードビジネス多店舗展開研究所の最新情報をお届けします

コメントを残す