第297話 外食ビジネスの次のステージ
コロナ禍で問われるニューノーマル(新常態)の外食とはどんな姿になっていくのでしょうか。
外食は多様化するお客様にどう対応していけるだろうか。今まではマスの理屈で多数のお客様に満足していただければ良しとしてきた店作り、商品、サービスをもう一度見直すことが求められる。
お客様が多様化してくれば、できるだけ多くのお客様に快適に使って頂ける店作りは必須となってくる。外食が一段ステージを上げるということである。
最近、会食の場で一緒に食事をしていた方から、その方の友人が「このメニューの色使い見づらいですね。文字もわかりづらい」と指摘していたという話を聞きましたい。
私としてみれば、違和感もなく言っている意味がわかりませんでした。
気になったのでよく聞いてみると「色弱」の為に色使いによってはよくわからない様です。
そして、文字のフォントによっては非常に見えにくいんだと教えてくれました。
非常に親しい人でしたので、打ち明けてくれたとのことでした。
普通、皆な自分が色弱と知られたくないので分かったふりをしていることがほとんどなんです。でもちょっと工夫をしてくれたらどんなに助かるかと言っていました。
多様性の世の中とは、それもその人の個性として尊重しあえる社会です。
その為には、その「色の見え方が少し違う」人のことも尊重していくことです。
調べれてみると、日本人男性では5%の人が色覚異常を抱えています。要は20人に一人は該当するということです。皆さんの周りにもたくさんいらっしゃるということです。ちなみに女性は0.5%だそうです。日本には320万人いると言われています。 フランスや北欧では10%だそうです。
私たちは、飲食店を経営していてその5%の人も快適に店舗を使ってもらえることを考えたことがあるでしょか? ましてやインバウンドで来日される観光客も含めて考える時に来ています。
実は、カラーユニバーサルデザインという考え方があります。
カラーユニバーサルデザインへの配慮はかけていたことで、問題になった例をいくつか紹介する。
・ヨーロッパのサッカーのチャンピオンシップリーグ最終戦で、両チームがホーム色である赤色と緑色のユニフォームを着ていた。するとテレビで見ていた人たちから「チームの見分けがつかないのはどういうことだ」という多くのクレームがありニュースとなった。
・「モダン ウォーフェア2」というシューティングゲームで、味方は緑色、敵は赤色に名前が表示されることで見分けがつかないため色を変えてほしいという署名運動が起った。ゲーム業界で初めて色弱が話題になった。
・ニンテンドーDSの充電の残量を表すランプが昔は「黄緑と赤」だったが、「青と赤」に変わった。これは多様な色覚に配慮したもの。
・「赤色の本を取って」と言われたときに、私たちは「緑色の本」を平気で持って行きます。まだ焼けてない肉を食べようとしたとか。あるいは、ウニとわさびを間違えて食べたとか。そういうあるある話はたくさんあります
カラーユニバーサルデザインという考え方があることをまず知ることからスタートです。
そして、カラーユニバーサルデザイン機構等の機関もありそのためのガイドを発表しています。
カラーデザイン、文字フォント等をチョット配慮するだけで20人に一人と言われる人が、快適に飲食店を使ってもらうことができるということは素晴らしいことです。
美味しい、サービスが良い、お店がキレイは当たり前の時代、いかに人に優しいお店になれるか
ニューノーマル対応として一段階外食のステージを上げていきたいものです。