第307話 ワクチン投与は状況を変えることができるか?

2020年12月の売り上げ状況が各社出始めていますが、総じて厳しい状況になっている様だ。

11月の日本フードサービス協会まとめでは前年比は92.2%と戻り基調にありましたが12月は全体に11月を下回り低調であったようだ。日本フードサービス協会の発表は出ていないので全体はわからないが各社の発表を見ると厳しい状況となっている。

 

全体を引っ張っていたファーストフードの状況を見るとマクドナルド前年比107.2%と11月の109.6%を下回った状況。KFCは年間で最も大きな売り上げを叩き出す月ですが前年比100.8%。11月が118.7%でしたから少し勢いが落ちているようだ。モスバーガーは前年比114.2%と好調さを維持しているようだ、しかし11月は123.5%の前年比であったことを見ると低下していることがわかる。

総じてファーストフードは100%越えで全体を引っ張っている状況は変わらないようだ。

牛丼チェーンでは吉野家が前年比88.8%に対してすき屋101.3%と前年をクリアーしている。

 

ファミリーレストラン系を見るとすかいらーく12月前年比78.1%(11月85.1%)、ロイヤル79.8%(90.8%)、サイゼリア75.2%(80.8%)、ジョイフル79.0%(89.4%)とまた80%を割り込むという厳しい状況だ。

 

最も厳しい居酒屋系はどうだろうか。ワタミ前年比40.9%、チムニー前年比32.0%、鳥貴族51.9%11月81.3%から大きく低下している。特に12月は各企業の宴会等の自粛もあり忘年会等の需要が全くなくなったことは大きく影響した。

11月は100%越えのかっぱ寿司も89.0%、スシローは98.7%と11月を下回った。

 

まだ各社発表が出揃っていないため分からない部分もあるが、総じて12月は盛り返してきた11月を下回る厳しい状況となった。特に居酒屋グループの状況は1月の緊急事態宣言がより拍車をかけてしまうことになるだろうと推測される。

 

そんな中で先日日経電子版で野村証券のチーフエコノミストへの今年の見通しに関してのインタビュー記事があったので紹介しておく。

 

コロナによる景気低迷に関しては。「かなりピュアな需要ショックという性格がある。感染拡大で人々が外出せず需要だけが落ち込む。一方で生産活動を続ける能力は変わらず、ひとたび制約がなくなって需要が戻れば、何事もなかったように経済が回復しやすい」

 

そして1〜3月見通しを「前期比の実質成長率は年率マイナス4.1%と予測している。20年4~6月期以来のマイナス成長でいわゆるダブルディップ、二番底という想定だ。ただし、2度目の緊急事態宣言によるマイナス成長は1四半期のみで、『2四半期連続のマイナス成長が景気後退』という世界標準に照らせば景気後退という意味での底にはならないとみている。3四半期連続のマイナス成長となった20年4~6月期、月次でいうと20年5月に景気は底入れしたとの判断だ」

 

そして経済正常化への道のりについては「ワクチンの普及によって、需要ショックを受けたサービス消費が正常化へ向かうタイミングは今年後半というのがメインシナリオだ。需要ショックにとどまらず悪いスパイラルに陥るというシナリオの確率は低く、成長率予測は20年度のマイナス5.3%に対し、21年度はプラス4.1%とみている」

 

経済の落ち込み方の深さが昨年とは大きく違いと指摘している。輸出の落ち込みが昨年とは様変わりしている。輸出が意外に落ちないのは、第1波の時と違って物流があまり影響を受けていないのが大きい。外出しなければサービスにお金を使わないが、代替的にモノは買っている。企業行動として財の生産は絞らなくてもいいという学習効果が働いているのではないか。と語っている。

 

ワクチンもまもなく投与が始まる見込みであり今年の2月には医療従事者、3月には65歳以上者、4月には一般の投与が始まるとの発表もある、日本は全国民2回分の投与量を確保していると発表しておりマインド的には大きく変化が見込めると考える。

 

 

 

 

 

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