第324話 コロナ禍で変わる労働市場
コロナ禍での日米の差が出てきているようだ。
新型コロナウイルスのワクチン接種拡大や感染者数の減少で経済が正常化に向かう米国で、小売りや外食など人手不足に悩む企業が待遇を改善する動きが相次いでいる。雇用者数の伸びが鈍化するなか、入社一時金の支給や賃上げを通じて人材確保を急ぐ。
米国ファストフード業界は新型コロナで20年3月に全面的な閉鎖に追い込まれた。その後は持ち帰りや宅配などで営業を再開してきた。足元では新規感染者数の減少を踏まえた各地の制限緩和で、店内サービスも本格的に始まっている。一方、一時解雇や人員削減で消失した雇用者数はコロナ前の水準に戻っておらず、人手不足がサービス再開の重荷になっている。と報じています。
景気の回復基調の中で人材確保に急ぐ姿が見えてきます。
一方日本の状況はどうでしょうか?
日経新聞が伝えています。
日本の状況は働く人たちの意識の変化が大きく左右している様にも見えます。
日本の労働市場で雇用のミスマッチが拡大している。総務省によると仕事に就きたくても「希望の仕事がない」との理由で失業状態が続く人が3割で高止まりする。失業が1年以上に及ぶ人も増える。新型コロナウイルスの感染拡大が長引くなか、短期的な失業抑止のための助成制度から、労働移動を促す仕組みへの転換が求められる。
総務省が14日に発表した労働力調査(詳細集計)によると2021年1~3月の失業者214万人のうち、「希望する種類・内容の仕事がない」と答えた人は64万人と30%だった。19年は20%台後半だったが、新型コロナの感染拡大が雇用市場に影響を与えた20~21年は3割台が続いている。
就職を希望するが求職活動はしていないという人も、全体の37%にあたる95万人が「適当な仕事がありそうにない」と理由を答えている。一方で、出産・育児や介護・看護のために求職活動していない人は大きく減った。
新型コロナウイルスの感染拡大が長期化するなかで、雇用吸収力が大きかった飲食や宿泊など一部のサービス業は雇用が蒸発。他方で医療・福祉などは直近の21年3月も有効求人倍率が2~3倍とコロナ下でも引きは強い。デジタル・トランスフォーメーション(DX)に関連した職種も求人は堅調だが、働き手の希望やスキルが一致せず、労働移動が進まない状況だ。
ある専門家は「副業によるスキル向上も有効だ」と話す。労働移動を促すためには「学び直しを促す仕組みも一段と求められる」として、長期的な取り組みの重要性も指摘している。
完全失業率では欧米各国よりも低い水準といえるが、明らかに米国の先行きの景気の回復にかける熱量とに違いがある様に感じてならない。
コロナも間もなく終息します。その時にどう弾みをつけることができるか国の政策も、企業の対応も問われるのではないか。