第325話「非接触」サービスはどこに向かうのか?

コロナ禍でサービスのあり方がより鮮明になってきている。非接触が非接客サービスへと姿を変えている。

今までの価値観でサービスを論じてきた人から見ると、異次元と言えるような内容だ。

その根底には定員との接触も顧客にとっては小さなストレスとなっているという考え方だ。

店員の接客に対する感じ方は消費者によって異なる。嗜好の多様化が進む中、一人ひとりが感じる小さなストレスを除いていく取り組みはますます求められる。

日経MJが伝えている。

アパレル、ホテル、飲食店……。流通サービスの様々な業種で接客のあり方を見直す動きが出てきた。完全無人試着室、スマートフォンによるチェックインや注文などの「非接客」サービスだ。背景には自分の時間を効率的に使いたい消費者の意識の変化がある。お客の時間を奪う押しつけがましい接客はいらない――。消費者に寄り添う新しい「おもてなし」が求められている。

東京・代々木上原の商店街にある雑居ビルの一室。事前に伝えられた暗証番号を入力して部屋に入ると、パリのアパルトマンを思わせる室内に、ワンピースやボトムスなどの婦人服が並ぶ。隠れ家的な衣料品店の趣だが、異なるのは店員が1人もいないこと。この部屋は、20~30代の女性に人気の衣料品ブランド「foufou(フーフー)」が用意した完全無人の試着室だ。

フーフーはインターネットなどを通じて顧客に直接商品を届けるD2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)を採用。無人の試着室は1時間1組の完全予約制で、利用者はインターネット経由で予約した際にカギを開ける専用の暗証番号を受け取る。自分が気に入った婦人服を誰の目を気にすることもなく試着できる。

試着室では商品を販売していない。利用者が好きなときにインターネットから注文できる。一般的な衣料品店のようにカーテンの向こうにいる他のお客や店員を気にする必要がない。思う存分服やブランドの世界観を満喫できるのが特徴だ。

店員による接客をしないことで顧客満足度を高めるという異例の「おもてなし」は、デザイナーのマール・コウサカ氏が感じた小さな違和感から生まれた。

小売業では店員による丁寧な商品説明や手厚い接客が優れた「おもてなし」とされてきた。ただ、都内のIT企業に勤める20代の女性は「店員さんに声をかけられるのが気まずくて試着室は入りたくない」と漏らす。オンラインで服を買い、サイズが合わなかったら返品するという。手間はかかるが「その方がストレスフリー」という。

「チャット世代にとって、自分のペースではないタイミングで話しかけられるのはストレス」と話すのは、スマホの注文システム「オーダーテーブル」を手掛けるショーケース・ギグ(東京・港)の新田剛史社長。コロナ禍で「オーダーテーブル」への新規問い合わせ数は、4月までの約4カ月間前年同期比で2倍に増えた。オーダーテーブルを導入した店舗では、売り上げが伸びている例もあるという。

店内のQRコードを読み込んで注文できる(東京都台東区の大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん 御徒町店)

同システムを導入する「大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん 御徒町店」(東京・台東)では手元のスマホでメニューのQRコードを読み込み、来店客が好きなタイミングで注文できる。緊急事態宣言を受け、現在は酒類の提供を停止している。

同店を展開する一家ダイニングプロジェクトは「日本一のおもてなし集団」を目標に掲げている。ただ注文商品を提供するだけでなく、スタッフが肉を焼いて、一番おいしいタイミングを伝えるなど、より付加価値のあるサービスを目指している。

流通サービス業の現場では「レジでのポイントカードの確認が煩わしい」など、これまで当たり前とされてきた接客に小さなストレスを感じている人は少なくない。コロナ禍で来店をためらう人も増えているなど、店舗のあり方も見直されようとしている。

消費者にストレスを与えないおもてなしにどう変えていくかが、流通サービス業にとってこれからより重要となる。

と日経MJは伝えている。

コロナ禍で非接触が進む中で、顧客の本音が見えた格好だ。今後のおもてなしサービスのあり方を考える時期に来ているにかもしれない。

 

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