第334話 HACCP導入は進んでいるか?

全ての飲食店がHACCPの導入が義務化され、本年6月1日より法律が本格施行されました。

皆さんの店舗はいかがでしょうか?当然導入が進んでいる事だと思います。

 

コロナ禍で店舗の運営自体が大変な中、現実的には完全導入が難しいと言っている経営者が多い様です。

そんな中、ClipLine株式会社は、食品取扱事業者を対象にした「HACCP導入に関する調査」を実施しその結果を7月6日に発表しています。

 

その調査結果を見てみたいと思います。

ClipLine社の調査では2021年6月1日より完全義務化となったHACCP導入について、企業からはコロナ禍の影響で店舗オペレーションが煩雑になり、体制の構築や現場指導まで手が回らないという声があがっています。
気になるのは、経営層と現場で認識に差がある事です。

本調査は、HACCP導入状況を明らかにし課題を認識することで、必要な準備や心構えの手がかりを得ることを目的としています。

 

食料品製造業および飲食店に所属する経営層および従業員400名を対象に調査を実施。

Q1、HACCPという衛生管理基準を知っていますか。

経営層、現場の従業員層ともに8割がHACCPの制度を認識していると回答しました。

 

Q2. 2021年6月よりHACCPが義務化されたことを知っていますか。

6月からの義務化については経営層の8割以上、現場の従業員層6割が認識していると回答しました。

 

Q3.あなたの会社(組織)でのHACCPの導入状況を教えてください。(6月17日~21日時点)

経営層を対象にした導入状況の設問では4割弱が導入完了と回答しました。

企業規模(従業員数)別に導入状況を見ると、100人以上の事業所(拠点)では9割近くが「完全導入・または一部導入済み」であることがわかりました。1~5人未満の事業所(拠点)では「完全導入・一部導入済み」は2割にすぎず、半数が「導入目途が立っていない」「わからない」と回答しました。

 

Q4. HACCPを完全に導入できていない理由は何ですか。(いくつでも)(部長代理以上n=92)

体制構築、研修、人材確保ができないという回答が上位となりました。知識習得の上、管理を実行するためには専門の人材が必要であり、推進難易度が高いと認識されている可能性があります。

 

Q5. どれくらい正確にHACCPに基づいた管理ができていますか。

正確に管理できているという回答は3割弱。導入後も現場の遂行内容を管理監督する必要がありそうです。

 

Q6.正確に管理できていない理由はなんですか。(店長・工場長・従業員n=76)

「従業員の理解度に差がある」という回答が多数ありました。「優先順位が低い」「必要性が理解されていない」という回答からも制度の実施の必要性を従業員に理解してもらう必要があると考えられます。

 

Q7. あなたの組織では、デリバリーサービスを行っていますか?(自社配達、外部委託を含む)

3割の店舗や拠点がデリバリーサービスを実施していると回答しました。

 

Q8. デリバリーにおいて衛生面で気を付けていることはありますか。(いくつでも)

過半数が「提供メニューを選抜している」と答えた一方、「特にしていない」という回答も1割程度みられます。全体的に、経営層と現場従業員で差が見られ、規律として存在していても現場で実行されていない可能性があります。本部で決めた衛生基準が現場に浸透し守られているか、継続的に管理していく必要があります。

 

今回の調査を通じて以下のように考察しています。

考察
実行リソースや費用確保が難しいという回答や、個人店を始めとした小規模事業者での導入が遅れていることから、知識習得・実行難易度が高い=「HACCPは難しい」と認識されている傾向がありそうです。また、導入後であっても、正確に管理できているのは3割に過ぎず、継続的な現場チェックや指導が必要と言えます。現場への教育は手法の前に「なぜHACCPが必要か」というマインドセットから始める必要があると考えられます。
 

 

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