第351話 消費者の生活様式の変化と多店舗展開

アフターコロナお客様が戻ってくれるだろうと期待していた経営者は、もう一度消費者の変化に注意を向けてみる必要がありそうです。

 

コロナ禍が消費者のマインド、生活様式も変えてしまったのか。この変化をどう読むか、経営の判断が問われています。

 

先回お伝えした、日程MJのアンケートでの飲食を伴う会食はしたくないという人が63%を超え、今年の忘年会はしたくないという回答が70%を超える。そんな中年末年始の稼ぎ時をどう組み立てるのか判断が問われます。

 

そんな中、都市部の消費者の戻りが非常に鈍いことから、郊外へと出店をシフトする動きが見られる。

居酒屋業態の業態変更の動きと相まって今後の消費者のマインドの変化に伴って企業の動きが注目されます。

 

日経電子版がこんな記事を伝えています。

 

外食大手が郊外への出店に軸足を置く。レインズインターナショナルは焼肉の「牛角」で郊外向けの新業態で出店を進める。ラーメン店「日高屋」を運営するハイデイ日高は2022年2月期の新規出店のうち郊外の比率が過去最高になる見込み。新型コロナウイルス禍で都市部の需要が鈍いなか、家族連れ需要が見込める郊外店に軸足を置く動きが広がる。

 

レインズインターナショナルは10月に展開する牛角で2つの新業態を立ち上げた。1つは国道沿いを中心に郊外を開拓する大型店「牛角食べ放題専門店」だ。従来の主要立地は駅前や繁華街だったが、コロナ禍に伴う人混みを避ける消費者心理の浸透やテレワークの定着を受け、家族客をはじめとした堅実な需要を見込める郊外に出店の照準を合わせる。

 

もう1つの新業態はフードコート向け小型店「牛角焼肉食堂」だ。従来型の牛角と郊外向け大型店とあわせて年間20店舗以上の新規出店を計画。現在フランチャイズチェーン店を含めて全国に約600店舗あるが、目標とする1000店体制へ向けて出店を続ける。

 

ハイデイ日高は従来の駅前・繁華街中心の出店戦略を見直し、郊外の幹線道路沿いへの積極出店を進める方針だ。今期に計画する20店舗超のうち、郊外が約3割を占める見通しだ。

 

イートアンドホールディングス(HD)も郊外に大きく舵(かじ)を切る。主力の「大阪王将」は8月末時点で郊外や住宅街など「生活立地」への出店が全体の60%を超え、繁華街の23%を大きく上回った。コロナ禍初期の20年3月末時点では繁華街44%に対し生活立地は33%。ここ1年半で主力立地が一気に切り替わった格好だ。

 

出店立地の戦略変更などが奏功し、21年3~8月期の連結最終損益は2億9900万円の黒字(前年同期は6億5000万円の赤字)に転換した。仲田浩康社長は10月の決算会見で「繁華街の店は赤字が続くなど、都心に行くほど数字が悪い。利益の出ている生活立地への出店で黒字化を目指す」と話した。

 

郊外出店を柱としてきた会社の業績は好調だ。「焼肉きんぐ」を展開する物語コーポレーションの21年6月期の連結純利益は前の期比約6倍の27億円の黒字を確保。一方、都心部を中心に展開するコロワイドの21年3月期(国際会計基準)の連結最終損益は2期連続で赤字になるなど低迷した。

 

決算期が異なり単純比較はできないものの、コロナ下の飲食店においては郊外型の立地が優位性を持つ表れといえる。生活様式の変化を背景にこうした傾向が今後も続くとみられ、外食各社の郊外進出は当面続きそうだ。

 

この様な業界の動きを、あなたはどう判断されますか?

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