第379話 多店舗化を決める5Sと3Sの重要性
外食始め店舗型ビジネスの多店舗展開で重要な要素である5Sと3Sのお話です。
この時期もう一度見直しておきたい内容です。
5Sは何でしょうか?
整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)の頭文字のSをとったものです。製造業に限らず、サービス業などでも重要なキーワードとして注目されるようになってきました。
店舗運営管理の基本のきといってもいいでしょう。
皆様の店舗、チェーンではどうでしょうか?最近の飲食店を見て一番に感じるのは店の清掃の弱さです。
それでは3Sは何でしょうか?
ここでいう3Sは 単純化、標準化、専門化 です。
単純化 ・作業を簡単にすること
・一目で作業内容が理解できる
標準化 ・誰でも同じ結果が得られる
・共通点の多い作業などを統一する
専門化 ・製品知識に精通する
・目的に応じた提案ができる
単純化・標準化・専門化が進まない理由は何だろうか
(1)単純化が進まない
単純化することは難しい。過去のトラブル数に比例して現場に届く情報量は多くなる。しかし、情報が正確に伝えられるとは限らない。理解に個人差が生じ、新たなトラブルが誘発されてしまう。
結果的に悪循環が生じ、仕事を複雑にしている。
(2)標準化が進まない
日々の業務を繰り返していると、少しずつ近視眼的になり視野も狭くなってくる。そのため、担
当する工程以外には注意が届かなくなり、他工程の動向には関心が低くなる。結果として、標準化は担当する工程内のみで進められ、店舗全体あるいは全社的な水平展開には至らない。
(3)専門化が進まない
専門化を促すため、OJT による社員教育が盛んである。OJT の目的は、座学では伝えられない暗黙知について、職務を通じて継承させることにある。しかし、継承する側に興味や好奇心がなければ、形しか残らない。しかも、本質や根本が理解できなければ、残った形も危うくなる。仕事への興味を喚起できているだろうか。
それでは単純化・標準化・専門化を促すためにすべきことは何でしょうか。
(1)必要最小限の情報に絞る(単純化)
過去のトラブルを吟味し、確実にやるべきことを情報として集約する。表面的なことばかりを説
明しても、内側にある本質的な根本を伝えたことにはならない。また、根本的なものは理解する
までが大変で、それ以降は簡単なものに変わる。単純化することで効率化が測れることの意識は重要と言える
(2)他の工程への関心を持つ(標準化)
関心を持って他工程を観察し、良いところを真似することで標準化が始められる。また、わから
ない部分を相手に尋ねることで、相互理解も図れる。さらに、真似て得られた成果を周囲にも伝
え、真似されることで標準化の水平展開が推進される。
(3)興味と好奇心を喚起する(専門化)
専門化に必要な興味や好奇心を育てるものは、仕事を通じて得られる感謝や賛辞の言葉である。
特に、製品を使うユーザーの声は、心に強く響くものだ。人の専門化が会社の存在価値となり、
社会に必要とされるなら、そのための努力は惜しまないだろう。
いずれにしてもこの3S単純化、標準化、専門化は店舗運営管理特に多店舗展開においては必須の考え方であると言える。逆にいうとこの3Sが確立できないと多店舗展開、チェーン化、FC化は難しいと言える。