第423話 スーパーバイジング・ピラミッドと多店舗展開(3)

スーパーバイザーの経験から伝えたいこと

先般Amazonから「新時代の管理術 スーパーバイジング・ピラミッド」を出版しました。

おかげさまで多くの方にお読みいただいています。

スーパーバイジングに関してはなかなか体系的にまとめているものが無かっただけに、喜んでいただけた様です。

本書の内容は、スーパーバイザーの仕事をピラミッドに準えて、そのレベルごとに会社が取り組むべきことと、スーパーバイザー自身が取り組むべきことをあえて分けて表しました。

このことにより、スーパーバイザーの役割と会社の役割をより明確にすることができたのではないかと思います。

このブログの中で、機会を見つけて何度かこの内容に関して少しお伝えできればと思っています。

前回に引き続きその3回目です。

スーパーバイザーがブランドとチェーンの足腰を強くする

スーパーバイジングとは?

 

一般的にスーパーバイジングは「本部の方針・指導・マニュアル通りに加盟店が営業しているかチェックし摘発することである。フランチャイズの場合、主としてスーパーザイザーが担当するスーパーバイジングは本部機能の中で最も重要なものと位置付けられている」であると説明されています。

しかしフランチャイジー加盟社の全てが、現在あるマルチフランチャイジーのように、店舗オペレーション力も運営管理力も優れている加盟店ばかりではありません。

そこで飲食業のフランチャイズビジネスの場合には、そのフランチャイズオーナーとの信頼関係の構築から始まります。

加盟店の営業状況をチェックして指摘することはできますが、重要なのは、営業の改善をフランチャイジー店舗で自立してできることです。そのための指導と教育も必要ですけれども、本部研修だけでは、まかないにくい部分でもあります。

そのために、フランチャイジー社内での教育担当者、またはエリアマネージャーの育成が重要です。スーパーバイザーは自分で手を下して全てを変えることはできません。全て実施するのは店舗でなければなりません。

こうした活動こそが、ブランドの維持と拡大に繋がり、逆にチェーン全体に波及するダメージの原因となるかもしれません。

ここの大変さは、実際にフランチャイズのスーパーバイザーを経験した人間でないとなかなか理解できないようです。

 

一方で、スーパーバイザーって本当に必要なのかとの声を聞きます。

スーパーバイザーが必要かどうかと問われると、今の状況では必要でしょうと答えます。しかし、業態によっては必要ではなくなる状況へと変化するかもしれないと考えています。

スーパーバイザーとはスーパーバイジングをするための手段です。つまりブランドの維持向上と店舗指導がしっかりとでき、業績が向上しフランチャイズシステムがしっかりと機能することを目的としています。

そのためスーパーバイジングの機能としてカバーできる手法、例えば情報システム(IT)や人口知能(AI)の発達によっては、スーパーバイザーの存在が取って代わられるかもしれません。

「2045年には人口の9割が職を失う」と言っている学者の方もいますので、その頃にはわかりませんが、人間同士の信頼関係の構築を取って代わるにはまだまだ時間がかかりそうです。

しかし、店舗運営自体がよりシステム化し就労者の減少対応含めてより高度な店舗運営管理が求められる中フランチャイズ担当のスーパーバイザーに求められる能力も変わっていくことでしょう。

 

 

スーパーバイジング・ピラミッド

 

スーパーバイジングがしっかりと機能するためには、フランチャイズビジネスを画一化、単純化し、標準的に推進する力とノウハウ、すなわちフランチャイズパッケージが必要です。スーパーバイジングもその中の一部の機能です。

 

スーパーバイジングを円滑に進める為の方法として、スーパーバイジング・ピラミッドを組み立てて一段ずつ確認しながら進めて行く手法があります。

自社内のスパーバイジングシステムを見直し、スーパーバイザーの一層のレベルアップに繋げることができるスーパーバイジングを目指すものです。

企業として取り組むべきベースと、スーパーバイザー個人として取り組むべきこと、また必要とされることに関して分けて考えていきたいと思います。

 

スーパーバイジング・ピラミッドは、私が35年にわたる現場での経験からスーパーバイジング(スーパーバイザーの仕事)に関してまとめたもので、大きく分けて四段の組み立てになっています。

 

つづく

Amazon

https://www.amazon.co.jp/dp/B09V1DB1VH

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