第477話 飲食店倒産、過去20年で最多

飲食業の倒産、廃業の勢いが止まりません。飲食店を取り囲む経営環境は厳しくなります、そして運営はより高度化し複雑化して行きます。この状況にいかに対応していくかが今後の大きな課題となりそうです。

日経MJに載った記事を以下紹介します。

飲食店倒産、過去20年で最多802件
23年度56%増、原価高騰響く 帝国データ調べ

飲食店の倒産件数が急増している。帝国データバンクによると、2023年度に倒産した飲食店の件数は新型コロナウイルス禍が始まった19年度を超えて過去20年間で最も多かった。光熱費や食材の価格高騰や人手不足により、事業を継続できない飲食店が目立つ。

帝国データバンクが発表した「飲食店」の倒産動向調査によると23年4月~24年3月に倒産した飲食店の件数は22年度に比べ56%増の802件に達した。新型コロナウイルス禍の影響で倒産する飲食店の件数が膨れ上がった19年度(784件)を上回った。

飲食店は新規参入の障壁が低く、少ない元手で事業を始めるケースが多い。帝国データバンクによると、コロナ禍での支援制度が終わったほか、光熱費や原材料価格の高騰など当初の事業計画から「想定外」の事態に直面し、閉店に追いこまれる飲食店も少なくないという。

実際、休業や時短営業に伴う協力金の配布など、政府が飲食店支援を打ち出した21~22年度には倒産件数が大きく減っていた。21年度の倒産件数は534件、22年度は514件とコロナ前の18年度と比べても2割ほど少ない。これまで給付金や実質無利子・無担保のゼロゼロ(コロナ)融資で延命してきた飲食店の事業継続が難しくなっている。

業態別に見ると、最も多かったのは居酒屋などの「酒場、ビヤホール」(207件)で22年度から55件増えた。「中華料理店、その他の東洋料理店」は130件を占めたほか「西洋料理店」(90件)や「バー、キャバレー、ナイトクラブ」(72件)も上位に並んだ。

居酒屋業態の飲食店やラーメン屋に代表されるような中華料理店はライバルも多数存在し、競争は激しい。家族経営など事業規模が小さい場合も目立つ。帝国データバンク担当者によると「新型コロナの流行や食材価格高騰などの社会的変化に対応できず淘汰されるてしまうケースが多い」という。

人々の生活様式が変化したことで、飲食店に来店する消費者の行動も変化している。「家飲み」が拡大し、宴会など大人数での飲食店利用の機会は減少。居酒屋業態の飲食店では客足が思うように戻っていない。

都道府県別では東京都(129件)、大阪府(95件)、兵庫県(72件)など大都市のある地域での倒産件数が際立つ。上位5都府県で全体の倒産件数の50.4%を占めた。

倒産した飲食店を運営してきた期間別にみてみると、全体の4割にあたる337件が開業して10年未満の店舗だった。3年未満の飲食店の倒産は46件、3~5年未満も75件あった。

光熱費や原材料費高騰に加えて賃上げ対応も求められており、飲食店事業者の経営環境は厳しさを増している。帝国データバンクの担当者は「飲食店の倒産は今後も高水準で推移する」と分析している。

 

 

 

FMDIフードビジネス多店舗展開研究所の最新情報をお届けします

コメントを残す