第495話 (最新米国情報)コンビニエンスストアの統合がレストラン業界にもたらす展
コンビニエンスストア業界での統合が、レストラン業界にとってどのような影響を及ぼすのか注目が集まっています。特に最近、サークルKの親会社であるアリマンタシオン・クシュタールが、セブンイレブンの親会社であるセブン&アイ・ホールディングスに対して380億ドルでの買収提案を行ったことは、業界全体に大きな波紋を広げています。この提案が実現すれば、国内の主要なコンビニエンスストアチェーンが統合され、競争がさらに激化することが予想されます。
さらに、クシュタールはピッツバーグに本拠を置くジャイアント・イーグル食料品チェーンから、約270店舗を展開する「ゲットゴー・カフェ+」を買収する計画も発表しました。これにより、コンビニエンスストア業界での競争は一層厳しくなり、ファーストフード業界やレストラン業界にも大きな影響を与えることが考えられます。
特に注目すべきは、コンビニエンスストアが食品サービス分野での競争力を強化しつつある点です。テクノミックの最近の調査によれば、2024年にはコンビニエンスストアの食品サービス売上高の伸びが、ファーストフード店を上回る可能性があると報告されています。消費者がますますコンビニエンスストアの調理済み食品や飲料を選ぶ傾向が強まっており、レストラン業界との競争が激化することは避けられないでしょう。
実際、消費者の40%がファストフード店への訪問を減らし、代わりにコンビニエンスストアで食品を購入する機会が増えていることが、同調査で明らかになっています。また、QSR(クイックサービスレストラン)で提供されるチキンサンドイッチの平均価格が、コンビニエンスストアで販売されているもののほぼ2倍であることも報告されており、価格面での競争力も重要な要素となっています。
クシュタールがジャイアント・イーグルとの契約を締結すれば、サークルKはセブンイレブンの強力な食品サービス事業を引き継ぐことになります。これにより、ルースト・チキン・アンド・ビスケットなどのレストランブランドと競争することで、より一層の市場シェアを狙うことができるでしょう。
一方で、クシュタールの食品サービスプログラムはまだ発展途上であり、競合他社に比べて遅れをとっている状況です。しかし、同社はすでに「フレッシュフード・ファスト」プラットフォームを世界中の5800店舗で展開し、飲料市場での支配を目指していると発表しています。クシュタールは全店売上高の約12%を食品が占めており、これを20%まで引き上げることを目標に掲げています。
こうした動きは、レストラン経営者にとっても大きな意味を持つでしょう。コンビニエンスストア業界がますます食品サービスに力を入れる中で、レストラン業界は競争力を維持するために、新たな戦略を模索する必要があります。特に、価格競争だけでなく、顧客サービスや商品品質の向上が求められる時代に突入しているのです。
このような業界の動向を見据え、レストラン経営者は、コンビニエンスストアの進化に対抗するための革新を図りつつ、顧客に対する価値提供を強化していく必要があるでしょう。