第570話外食市場2025年12月 ─ 年末需要が牽引した堅調な売上と変わる客の行動

2025年最後の月となった12月の外食市場の実績が発表になりました。12月は、年末の「家族需要」や「小グループ宴会」を中心に、前年同月比で売上高が106.0%と6%の増加を記録しました。これは49か月連続のプラス成長という長期的な回復基調を維持しており、業界全体の底力を感じさせる数字となっています。

年末は、例年のように家族での外食や忘年会需要がピークを迎えますが、2025年の12月は単なる数字の積み上げに留まらず、外食市場の消費構造や行動変化が鮮明になった月でもありました。

年末繁忙期の主役は「家族食」と「個人・小グループ宴会」

2025年12月の外食消費の特徴を語る上で、まず注目したいのが「消費の主体」です。

従来、忘年会といえば企業や団体による大規模な宴会が中心でした。しかし今回の調査では、中小グループや個人客中心の宴会が後半にかけて堅調に伸びたという点が大きな特徴として浮かび上がっています。大規模な法人宴会が減少する中、気の置けない仲間や少人数での外食需要が定着しつつあることを示しています。

特に飲酒を伴うパブ・居酒屋業態では、月後半の集客が顕著で、客数(103.9%)と売上(106.3%)が揃って伸びています。これは、「気軽な飲みニケーション」需要の回復を示すとともに、平日の宴会利用の変化、週末中心の利用パターンが鮮明になってきたことを意味します

業態別動向 ― 伸びる業態、課題の残る業態

12月の売上データを業態別にみると、全体が堅調な中でも、業態ごとの特色と課題が見えてきます

好調な業態

  • 喫茶(108.2%)
    客単価の上昇や観光地での利用が一部弱いものの、全体的には高い伸びを維持しました。特に冬季限定ドリンクや季節素材を活かした商品が消費者の支持を集めたと考えられます。
  • ディナーレストラン(107.6%)
    クリスマスや忘年会時期の利用が引き続き堅調で、インバウンド需要が一部弱まる中でも家族・グループ需要が支えました。
  • 和風・洋風フード(各108.2%、106.4%)
    期間限定メニューや年末特需をうまく取り込んで、高い売上伸長を見せています。

課題がみえる業態

  • 持ち帰り米飯/回転寿司(101.0%)
    回転寿司が年末休暇中に家族客で賑わった一方、持ち帰り米飯は客数が低迷しており、昨今の家庭内調理ニーズやスーパー惣菜の強化などが影響している可能性もあります。
  • 「その他」カテゴリー(98.3%)
    全体として前年実績に届かず、アイスクリームや季節デザートといった季節商品に左右された側面が見られました。

これらの動向は、外食の「日常利用」と「非日常利用」がともに存在感を持ちながらも、利用目的によって回復度合いに差が出ていることを物語っています。

客単価上昇と客数の変化 ― 価格戦略が効いた一方で

12月は、多くの業態で客単価が前年を上回る結果となりました。これは、原材料費や人件費の上昇が一巡したことに加え、価格改定を受け入れる消費者心理が成熟してきたことの表れとも言えます。

一方で、全体の**客数は前年並み以上(102.4%)**であり、特にディナーレストランや喫茶業態での利用が多かったことが、年末需要を後押ししました。
この点は「コロナ後の需要回復が一段落しつつも、価格受容性を伴った消費が成り立っている」ことを示唆しています。

2026年に向けて ― 外食経営に求められる視点

12月の数字は、外食市場が客足の堅調さと価格戦略の両立という、新たなステージに入っていることを示しています。年末需要が好調だったからこそ浮かび上がったのは、「日常使いと特別需要の両立」「小グループ・個人客への対応」「価格帯・提供価値の最適化」という、2026年以降の成長戦略の重要なポイントです。

2026年は、物価や原価の変動が続く中で、外食事業者がいかにして顧客のニーズ変化を捉え、柔軟な商品・サービス戦略を描けるかが試される年になるでしょう。12月の結果は、単なる好業績ではなく、“消費者との新しい接点”を見つけるヒントを与えてくれた月として捉えるべきです。

 

外食市場の動向は、私たちの生活様式の変化と密接にリンクしています。12月のデータから学べることは、単なる数字の背後にある顧客行動の本質にこそあります。来るべき2026年に向けて、外食企業各社がさらなる成長につなげることを期待したいと思います。

 

 

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