第573話(米国最新情報)レストランは顧客にもっとテクノロジーを提供したい
― “便利”の先にある、店舗型ビジネスの再設計とは ―
米メディアの記事「Restaurants want to give customers more tech(レストランは顧客にもっとテクノロジーを提供したい)」では、外食企業が今後さらにテクノロジー活用を進め、顧客体験を“デジタル主導”で設計しようとしている現状が紹介されています。
セルフオーダー端末、モバイルアプリ、QRコード注文、キャッシュレス決済、ロイヤルティプログラムの高度化――。
これらはもはや一部の先進企業だけの取り組みではありません。
米国では、McDonald’sやStarbucksのような大手チェーンが、アプリ経由注文やパーソナライズド提案を標準化し、顧客接点を「店舗」から「スマホ」に拡張しています。
つまり、テクノロジーは“効率化ツール”ではなく、“顧客との関係性を再設計する武器”になっているのです。
■ なぜ今、テクノロジーなのか?
背景には大きく三つの要因があります。
- 人手不足の慢性化
- 賃金上昇による固定費圧迫
- 顧客のデジタル慣れ
特に若年層は「並ぶ」「待つ」「呼び止める」ことを嫌います。
自分のペースで注文し、支払いもスムーズに済ませたい。
そのニーズに応えるため、レストラン側は“デジタルで摩擦を減らす”方向に進んでいます。
しかし、ここで重要なのは――
テクノロジーは目的ではなく、設計思想であるということです。
■ FMDI坂本視点:テクノロジーは“仕組み化”の装置
私は多店舗展開・FC構築を支援する立場として、テクノロジー導入をこう考えています。
テクノロジーとは、「再現性」を高める装置である。
店舗型ビジネスが拡大できない最大の理由は、“人依存”です。
優秀な店長、優秀なスタッフがいないと回らない。
この状態では、3店舗が限界です。
ところが、
・注文をセルフ化
・会計を自動化
・販促をアプリ化
・顧客データを蓄積
これらを設計すると、「属人性」が減り、「再現性」が高まる。
つまり、多店舗展開の基盤が整うのです。
テクノロジーは、現場を楽にするだけでなく、
“経営をスケールさせる前提条件”になりつつあります。
■ ただし、日本での落とし穴
日本市場では一つ注意点があります。
それは、
“温度”を失ってはいけないということ。
日本の外食は「おもてなし文化」が強い。
すべてをデジタル化すると、逆に冷たい印象になる場合があります。
だからこそ重要なのは、
- 作業はデジタル
- 接客は人間
- 判断は店長
という役割分担です。
テクノロジーは“効率”を担い、
人は“感情”を担う。
この設計ができて初めて、
デジタルと日本型サービスは両立します。
■ 今後の外食は「ハイブリッド型」へ
これからの店舗は、
✔ 注文はアプリ
✔ 会計は自動
✔ データは本部に蓄積
✔ 店長は分析と育成に集中
という構造になっていきます。
私は「22週間店長即戦力化プログラム」の中でも、
“データを読める店長”の育成を重視しています。
なぜなら、
テクノロジーが増えるほど、
最後に差が出るのは“判断力”だからです。
■ 結論:テクノロジーは「攻め」の武器
今回の記事は、
「レストランはもっとテクノロジーを顧客に提供したい」というテーマでしたが、
本質はこうです。
テクノロジーはコスト削減のためではなく、
顧客体験を進化させるための投資である。
そして経営視点では、
テクノロジーは、
多店舗化・FC化・M&Aを可能にする“構造設計”である。
外食産業は今、
「人で回す」から「仕組みで伸ばす」時代へ。
FMDIとしては、
単なるDX導入ではなく、
“拡大できるビジネスモデル”としてのテクノロジー設計を提案していきたいと考えています。
テクノロジーを入れるかどうかではない。
どう設計するか。
そこに、次の成長の鍵があります。
