第349話 トレンドを引っ張るZ世代 その2
今、トレンドを引っ張るZ世代が注目されています。
米国の状況を参考に2回にわたりZ世代を考察します。
二十歳前後の経営者のメンバーと話をする機会がありました。
彼らの考え方、価値観に驚きました。私の年代とは明らかに価値観が違います。
その違いがどこから来ているのか、米国の分析を元に紐解いてみます。
CRIEO 2018年8月14日の記事でZ世代を分析していましたので引用します。
ミレニアル世代 vs Z世代:押さえておくべき4つの違いと特徴
第347話の続きです。
- さまざまなチャネルから企業にアクセスできることを期待
SNSへの投稿やツイート、近況アップデートを通じて自己を表現することが習慣化しているZ世代は、日々の出来事を複数のオンラインプラットフォーム上で共有しています。
こうした傾向から、Z世代はお気に入りのブランドとつながる場所として、実店舗だけでなくスマートフォン、SNSといった媒体を求めていることがわかります。
オープンなコミュニケーションは、Z世代にリーチするための必須要件です。
デジタル化とSNS、さらにはリアルなオフラインでの体験も提供しながら顧客と双方向のコミュニケーションを確立できるブランドは、ブランドのプレゼンスを確立し、より多くのZ世代とエンゲージできるようになります。
その結果、ブランドロイヤルティはますます向上し、ブランドアドボケイト(熱狂的なファン)も増加するでしょう。
オフラインとオンラインの統合に成功している化粧品ブランドのGlossierは、SNS上で熱狂的なブランドアドボケイトを持つことで知られています。
同社は、急成長遂げたスタートアップ企業であり、CEOのエミリー・ワイス(Emily Weiss)氏によると、数百万ドルに上る同社の収益の90%は主に口コミによるもの、つまり複数のチャネルでファンの声に耳を傾けながら、彼らの要望に対応した結果、生み出されたものだということです。
- 完璧を求めないZ世代
ミレニアル世代の特徴の1つとして、将来に対する楽観的な考え方をする人が多いことが挙げられます。
しかし、それとは対照的にZ世代はより現実的な視点を持っています。
たとえば、彼らは真っ白な木製のフェンスに囲まれた家に住み、子どもが2~3人いて、マイカーを所有し、安定した職業に就くといった典型的な「アメリカンドリーム」に興味を示すことはほとんどありません。
彼らが関心を抱いているのはむしろ、完璧な生活よりもリアルな世界を映し出した商品やメッセージです。
完璧で、幸福で、悩みのない生活といったイメージは「リアル」ではないため、彼らの共感を得ることはできないでしょう。
これまでの世代と違い、Z世代が従来の「美」に対する考え方や、「簡単で手間がかからない」といったイメージを嫌うのも、このためです。
近年、「完璧ではない世界の中で、問題意識を持って生活すること」をミッションとして掲げる「ミッションドリブン」なスタートアップが台頭しています。
化粧品企業のRimmelでは#LivetheLondonLookキャンペーンをスタートしました。このキャンペーンでは4人の美容系トップインフルエンサーを起用し、個性を称えるショートフィルムを作成して、「Bebold, be you.(大胆に、そして自分らしく)」というメッセージを発信。自由とクールをテーマに、「誰もが目指すべきスタイル」など存在しないこと、そしてユニークであることを恐れるべきではないとと主張し、見事にZ世代の心をつかんでいます。
- アピールしたいのは「自分独自のスタイル」
自主独往と目的意識が強く、唯一無二のスタイルを重視するZ世代は、服やアクセサリーなどを本来の使用方法や形状、機能から逸脱させて使用することに長けています。
しかも、それを実際に着こなして他人に見せることをためらいません。ミレニアル世代は職場における「ビジネスカジュアル」の定義を塗り替えましたが、Z世代はファッション業界に次なる進化をもたらしつつあります。
Criteoの「Z世代についての調査レポート」によると、 Z世代は周りと同じように見られることを嫌うため、Z世代の49%がウェブサイト上にあるユニークな商品を重視していることが明らかになっています。
そのため、ブランドはZ世代が個性的な商品を求めていることを理解した上でマーケティングを行う必要があります。
ブランドはZ世代が独自の方法でさまざまな要素や物事を融合し、それらのプロセスや結果を楽しむことを応援することによって、彼らが重視する「個性の尊重」という価値観により近づくことができるはずです。
Z世代:インクルージョンと個性の世代
一見、この2つは相容れないもののように思えますが、インクルージョンと個性はZ世代の考え方に大きな影響を与えている2大原則です。人と違っていることがクールであり、完璧なものなど存在しないということを前提に、お互いの違いを受け入れようという考え方こそが、「デジタルネイティブ」として完成された最初の世代、つまりZ世代の価値観です。
こうした考え方はミレニアル世代でも一定の支持を得ていますが、Z世代はこれをSNS上で公言し、彼らのショッピングのあり方にも反映させています。Z世代の心をつかむには、ブランドの商品や製造過程のほか、マーケティングキャンペーンを通じてこうした彼らの信念を尊重・支持していくことが重要となります。
トレンドをリードするZ世代についてお送りしました。
皆様の活動の参考にしていただければと思います。