第400話 値上げの影響と9月実績

外食各社ともに値上げに踏み切っています。そんな中、「値上げしない宣言」をしたサイゼリアの事情はどうなのか?

国内では円安や、エネルギー高、小麦をはじめとする原材料の高騰で値上げラッシュが続いています。同社でも原材料に占める輸入品の割合は高く、円安が1円進むごとにひと月で1,000万円の経費が増えるという。しかし値上げを実施しない理由として、松谷社長は主に以下のふたつの点を挙げた。

・約500店ある海外店舗で円安による増益効果が見込める

・物価は上昇しているが、(消費者の)給料は上がっていない

同社では店舗や工場での食材ロス削減に取り組むことで、さらなるコスト削減を行い、今後も価格維持に取り組んでいくことを示した。

 

しかし、ファミリーレストランが抱える問題が根底にあるようです。それは9月実績を見ても分かるとおりファーストフード業態は2019年度比で108.3%と続伸しているものの、ファミリーレストラン業態は2019年比では81.2%に留まっている。

この状態での値上げは致命傷になりかねないとの考えが大きいのではないだろうか。

各社の値上げの状況がどのように業績に影響するか注視していきたい。

 

 

そんな中日本フードサービス協会から9月の実績が発表になっています。

 

<外食市場9月の動向>

新型コロナ感染者数が減り、月後半は店内飲食が回復


<全体概況>
9月の外食産業の売上は、新型コロナ第7波が峠を越え月後半にかけて客足に回復の動きが見られたことで、「緊急事態宣言」等の影響を受けた前年を上回り、全体売上は119.7%、19年比でも94.1%と、8月よりも明るい兆しが見えてきた。飲酒業態はコロナの打撃が大きく苦境が続くが、宴会などの顧客獲得に向けて情報発信を再開している。

 

<業態別概況> 

ファーストフード業態

コロナに起因するテイクアウト・デリバリーの売上増は一段落の気配だが、売上自体は引き続き堅調で、加えて店内飲食の回復もあり、全体売上は108.2%、19年対比では108.3%となった。 

「洋風」は、ドライブスルーの増設等とキャンペーン商品の強化で売り上げを伸ばし、104.6%とコロナ以前よりも好調。

「和風」は、期間限定メニューが奏功し売上111.1%。

「麺類」は、昼間を中心に都心部の店内飲食が復調し、売上120.5%、19年比は88.2%となった。

「持ち帰り米飯/回転寿司」は、回転寿司で値上げをしない安い価格設定が支持され、売上106.8%となった。

「その他」は、「アイスクリーム」が大規模施設や繁華街の売上を伸長し113.3%となったが、19年対比では87.0%であった。

ファミリーレストラン業態

全体売上は132.1%と、前月よりは上向いているものの、平日を中心にした夜間の集客が依然として不振であり、gy。
 「洋風」は売上122.7%、「和風」は139.3%となったが、九州・四国・中国地方で台風14号の被害が大きく、夜間の集客も振るわず、そもそも深夜帯の営業時間が減少していることなどから、19年比では「洋風」71.2%、「和風」82.3%に留まっている。

「中華」は、持ち帰りと店内飲食がともに好調で、売上124.3%。「焼き肉」は、コロナ感染の減速にともない大都市圏店舗が好調で売上167.7%、19年比でも104.4%となった。


パブ・居酒屋業態

昨年はほとんど営業できない店舗が多かったため、営業制限のない今年の売上比は568.8%と大幅に伸びたが、コロナ以前の19年比では53.7%にすぎず、小規模宴会の需要は少しずつ戻りつつあるものの依然厳しい。

 

ディナーレストラン業態
個人需要が戻り、売上は164.9%だが、平日夜間の法人需要がなかなか戻らず、コロナ感染の拡大に対応が追いつかなかったところもあり、19年比は80.5%に留まった。

 

喫茶業態 

売上は前年比128.2%となったが、シルバーウィーク連休の悪天候や台風の影響で、営業できなかった店舗もあり、19年比では80.1%であった。

 

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