第402話  値上げで変わる食卓

2022年11月11日MJの電子版が伝えています。

原材料の値上げが消費者にどう影響しているか、どんな変化が表れているかレポートしています。抜粋してご報告します。

 

原材料の高騰に伴い、食品の値上げが続いている。特に10月は値上げが集中し、食欲の秋にもかかわらず、食卓に大きな打撃を与えた。2度目の値上げになった商品も少なくない。賃金の伸びは限定的で、家計防衛を余儀なくされる中、消費者はどう毎日の食事を工夫しているのか。家庭の食卓をのぞいてみると、様々な変化が見られた。

 

料理関連のネット・アプリサービスの利用状況からは消費者の様々な工夫が浮き上がってくる。

 

料理写真共有アプリ「スナップディッシュ」を運営するヴァズ(東京都武蔵野市)によると、足元での「値上げ」を含む投稿数は「前年比約10倍に増えている」という。家にあるもので済ませることを意味する「アルモンデ」を含む投稿数も同3.8倍に増えた。

 

そんな中でも食は「おいしいことが最重要」(同社)だ。「節約を我慢ではなく、価値を高める方向に楽しむ傾向がある」。盛り上がっているのは通常レシピから安い食材への置き換えだ。豚肉を手ごろなカニカマと豆腐に置き換えたシューマイなどのレシピのほか、家庭用合わせ調味料を使ったレシピで青ネギをニラに置き換えるなど工夫を凝らす投稿が目立つ。

 

東京都葛飾区に住む主婦(33)は食料の調達先として、ディスカウントストアの「アコレ」を選ぶことが増えた。酒は「カクヤス」、食材や調味料は「アコレ」やドラッグストアで安くそろえるという。「生鮮食品はふるさと納税をさらに活用したい」と話す。

 

レシピ投稿サイトを運営するクックパッドJapan執行役員の北井朋恵マーケティングソリューション本部長は「節約というワードはもう響かない」と語る。「消費者は新型コロナ禍が始まってから我慢が続き、疲れている。今は賢くまとめ買いした食材を賢く保存し、賢く料理するのがトレンド」。「業務スーパー」や「コストコ」で安く大量購入してきた食材をおいしいまま保存する方法を探すなど、楽しみながら家計の負担を減らそうという人が増えているという。

 

食用油の高騰で、油の使用量を減らせる「揚げ焼き」などのレシピも投稿数が増えている。比較的価格が安定している米粉を使ったレシピの検索も急伸。「米粉は小麦粉より油の吸収率が低く、食用油の節約にもなる。とろみをつけることもでき、値上がりした小麦粉の代替としてほとんどの料理で使うことができると話題だ」(北井氏)

 

とはいえ、料理をする上では食用油の使用を完全になくすことはできない。日清オイリオグループでは原料の菜種などの高騰にともない、主要な食用油を2021年4月以降6度値上げしてきた。価格が上昇するにつれて菜種が主原料の「日清キャノーラ油」の販売量は落ちる一方、菜種と大豆をブレンドした値ごろ感のある「日清サラダ油」が拡大。キャノーラ油は22年4~6月の重量ベースの販売量が前年同期比28%減だった一方、サラダ油は同約1.8倍になった。

 

安くまとめ買いした食材の保存のため、既存の冷蔵庫にプラスして使う「セカンド冷凍庫」を購入する人も増えている。さらに今後、需要が膨らみそうなのが食材を乾燥させて保存しやすくする「ドライフードメーカー」だ。「コロナ禍や値上げラッシュで家庭菜園を始めた人も多い。肉や野菜、果物など何にでも使えるため、食材の保存需要の高まりに伴って売れ行きが伸びるのでは」(クックパッドの北井氏)

脱・総菜購入の動きも顕著だ。大日本印刷傘下で、食事の内容を記録・分析しているライフスケープマーケティング(東京・千代田)がまとめた「食MAP」によると、スーパーなどで購入した総菜の出現率は、消費者の節約志向を受け低下した。代わりに上昇しているのが家で手作り調理したメニューだ。

夕食ではご飯類の出現率が4月から30週連続で上昇した。ご飯に合う野菜炒めや味噌汁、納豆も人気だ。「総菜を買うよりも安く、簡単に手作りできるメニューを選ぶ消費者が増えている」とみる。

 

一方で揚げ物を食べるときは総菜という消費者もいる。JR北海道子会社のJR北海道フレッシュキヨスク(札幌市)が展開するスーパーマーケット「ジェイ・アール生鮮市場」では、コロッケなど揚げ物総菜の売れ行きが好調だ。足元では前年同月比で1割前後の売り上げが伸びているという。佐々木大輔常務は「食用油の価格が上がり、自宅で揚げ物をする人が減っているのではないか」とみる。

 

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