第457話 吉野家の新戦略:テイクアウト専門店の大幅拡大と10月実績
吉野家の新戦略:テイクアウト専門店の大幅拡大
外食産業の新たな動き
吉野家が2025年2月末までにテイクアウト専門店を現在の5倍、合計160店舗に増やす計画を発表しました。これは、新型コロナウイルスの影響で高まったテイクアウト需要に応え、外食業界の成長戦略に変化をもたらす大きな一歩です。
効率とコスト削減の両立
これらの専門店は、通常の店舗面積の半分であり、出店費用も半分で済むという経済的な利点があります。さらに、配膳作業が不要であるため、運営効率が高く、人手不足の問題にも対応しやすい構造となっています。
テイクアウト需要の増加
コロナ禍を経て、テイクアウトの需要は着実に高まっています。吉野家では、2023年度のテイクアウト比率が37.5%に上昇し、女性客の獲得にもつながっているとのこと。これは、外食業界における消費者の行動パターンの変化を示しています。
小型店舗の展開
吉野家のテイクアウト専門店は約50平方メートルの小型店で、教育が不要なアルバイトが集まりやすいという特徴があります。2023年10月末時点で全国に32店舗を展開しており、今後の増加が期待されます。
他の外食大手も追随
吉野家だけでなく、日本マクドナルドなど他の外食大手もテイクアウト重視の小型店を強化しています。これは、外食業界全体でのテイクアウト需要の増加と、効率的な運営モデルへのシフトを反映しています。
結論
吉野家のテイクアウト専門店の拡大は、外食業界における新しいトレンドの始まりを告げています。コスト削減と効率化を実現しながら、変化する市場ニーズに応えるこの戦略は、他の企業にとっても参考になるでしょう。今後の外食業界の動向が非常に楽しみです。
日本フードサービス協会より10月実績が発表になっています。
<外食市場 10月の動向>
穏やかな天候とインバウンドが追い風となり、回復基調続く
<全体概況>
10月は天候に恵まれ晴れの日が多く、人流の回復傾向が続いている。円安の影響で訪日外国人客数がコロナ禍以降で初めて19年比を上回るなど、インバウンド需要は引き続き旺盛で、外食全体の売上は108.8%となった。19年比では116.6%と大幅増に見えるが、これは19年10月に消費増税や大型台風の直撃で売上が振るわなかったことが
背景にある。また、継続的な物価高から引き続き価格改定の動きがある一方、消費者の節約志向に合わせた価格
訴求型のメニュー施策も一部では見られた。
<業態別概況>
ファーストフード業態
- 全体売上は107.3%、コロナ禍前の19年対比では127.0%となった。
「洋風」は、前月からの季節限定メニューが好評で、価格改定による単価上昇もあり、売上104.7%。
「和風」は、定番の季節メニューが好評で、売上113.2%。
「麺類」は、手頃な価格帯の店では平日、夜間ともに集客好調で売上112.2%。
「持ち帰り米飯/回転寿司」は、「回転寿司」で少量販売や手頃なランチセットなどの工夫が見られ、売上102.5%。
「その他」は、比較的気温の高い日が多く「アイスクリーム」のハロウィーンキャンペーンが好調、売上は111.9%となった。
ファミリーレストラン業態
- 全体売上は前年比110.4%、19年比は111.0%となり、いずれの業種でも19年を上回った。
- 価格訴求のクーポンやメニューが集客に寄与し、「洋風」は売上111.3%、「和風」はインバウンド需要の高まりもあり、売上110.8%。
「中華」は、価格改定を行うも客数は継続して好調を維持し、売上111.7%。
「焼き肉」は、一部で店舗減・売上減が見られるものの、客単価の上昇で売上は105.1%となった。
パブ・居酒屋業態
- 「パブ・居酒屋」は、天候が安定し、気温も高めに推移したことで、ビール販売が好調。店舗数削減が続いているが、団体や深夜の利用が少しずつ回復し、客数・客単価の上昇により売上は前年比112.0%、19年比で71.4%となった。
ディナーレストラン業態
- 円安が続くなかで、特に観光地のインバウンド集客が好調で客数と客単価を押し上げ、売上110.7%、19年比で103.4%となった。
喫茶業態
- オフィス街や観光地などで人流が回復し、客数105.9%、客単価108.8%、売上115.3%となった。