第528話最新事例で学ぶ、「M&Aで広げ、FC化で育てる」取り組み
外食業界において、いまや事業拡大のキーワードとなっているのが『M&Aで広げ、FC(フランチャイズ)化で育てる』という戦略です。
最近の注目すべきM&Aやフランチャイズの最新事例を見ながら、その実践的なポイントを探っていきましょう。
- 【M&Aで地域を広げる】すかいらーくHDの「資さんうどん」子会社化
大手外食企業のすかいらーくHDは、北九州を中心に地域密着型で人気のある「資さんうどん」をM&Aによって子会社化しました。
ポイント『地方展開のノウハウを取り込む』
- すでに地域で愛されるブランドを買収することで、店舗立ち上げにかかる時間やコストを短縮。
- M&Aによって、その地域特有の顧客ニーズやノウハウを迅速に獲得。
この事例は、地域ごとの市場特性を迅速に獲得し、地方での競争力を高めるためにM&Aが有効な戦略であることを示しています。
- 【新業態で市場を広げる】サンマルクHDの「京都勝牛」買収
サンマルクホールディングスは牛かつ専門店「京都勝牛」を傘下に収め、新たに和食業態を展開しています。
ポイント『業態の多様化と海外市場への布石』
- 新たな業態を取り込むことで経営リスクを分散し、市場の変化に強くなる。
- インバウンドや海外進出を意識した業態を選ぶことで、将来的なグローバル展開を視野に入れる。
新規業態の取り込みは、自社ブランドの市場を拡大し、多角化による安定的成長を実現します。
- 【FC展開でブランドを育てる】ワタミのサブウェイ日本法人買収
ワタミは、サンドイッチチェーン「サブウェイ」の日本法人を買収。今後、フランチャイズ化を積極的に進め、国内3,000店舗規模の展開を目指しています。
ポイント『買収後のFCモデルでの再成長』
- 知名度があるが成長が停滞したブランドを買収し、自社ノウハウを投入。
- フランチャイズモデルにより短期間で全国的に店舗数を拡大。
この取り組みは、M&Aで取得したブランドをFC展開でさらに大きく育てるという理想的な流れを示しています。
- 【直営化による経営効率化】小僧寿しのFC店舗直営化戦略
小僧寿しは、フランチャイズ加盟社が運営していた18店舗を直営化することにより、運営効率化とコスト管理の強化を目指しています。
ポイント『FC直営化による経営改善』
- 直営化によって運営を一本化し、仕入・物流のコストダウンを実現。
- 店舗管理の質を上げることで、ブランドイメージ向上と収益性改善を両立。
FC直営化は、フランチャイズモデルの修正や効率化によって事業をより健全に育てる手法として有効です。
- 【新規業態のFC展開準備】木曽路の焼肉業態開発
しゃぶしゃぶチェーン「木曽路」は、新業態として焼肉ブランド「大将軍」を展開。FC展開可能な新業態も開発し、将来的なフランチャイズ展開を進める計画です。
ポイント『FC化を見据えた業態開発』
- 新業態を自社開発し、FC展開に適したモデルを構築。
- 多業態展開で市場の変化に柔軟に対応できる経営基盤を作る。
この事例は、自社での新業態開発をFCモデルとして育てることで長期的に成長できる道筋を示しています。
【総括:「M&Aで広げ、FC化で育てる」メリットとは?】
今回の事例からわかる共通のメリットは次の通りです。
- 迅速な市場参入・地域展開の実現
- ブランド・業態の多角化によるリスク分散
- FC化による迅速で大規模な事業拡大
外食企業にとって、「M&A」と「フランチャイズ化」を組み合わせた戦略は非常に合理的であり、事業の成長を加速させる強力なツールになります。
特に、市場で既に一定の認知度や顧客基盤を持つブランドをM&Aで取り込み、FC化により効率的に規模を拡大させる手法は、これからの外食業界の重要なトレンドと言えます。
これらの最新事例から得られるヒントを参考に、自社の成長戦略を再構築してみてはいかがでしょうか。