第290話 物件探索と多店舗展開
店舗を出店する時に最も重要な要素の一つである、立地についてお話しします。
先日読んでいた本に、商売の成功は立地で7割が決まるとありました。
確かに、立地、物件は重要な要素です。私の外食40年の経験の中でも間違いなく6割、7割は決めてしまうと言えます。
どう考えても美味しいとは言えない、魅力もない店舗でも駅前一等地で何年も店舗を運営して頑張っている店舗を見るとそう納得せざる得ないようです。
私がいましたKFC店舗でも、同じ商品で同じサービスで、店の規模もおなじぐらいでも、何百万円も売り上げに差が出ているのが実態です。この差はなんなんでしょか?
立地、物件に他なりません。立地の中には商圏(マーケット)も含まれます。
その商圏にどんなお客様が住んでいるのか、または働きに来ているのかは、業種業態によって大きく影響します。
もう一つ、立地・物件で大事な要素があります。それは、一度決めたら修正をすることが非常に難しいということです。特に飲食の場合は非常に多くの投資が必要になります。メニューとかサービスは明日からでも帰れますが、店舗は簡単に良くないから変えようという訳にはいかないのが実情です。ましてや、それが売り上げ、利益に直結してしいます。
そんな大事な物件探索をどのように進めれば良いのでしょうか?
現在ナショナルチェーンで店舗開発の担当者が専任でいるような会社は別にして、我々中小の企業が考えるべきことはなんでしょうか
。
まず最初は、自分の商売(店舗)はどんな立地がベストな立地なのか知ることです。
これには、既存店からプロトタイプを構築し、どうゆう立地を選ぶべきなのかを決めていきます。その時に大事なのは「店舗のお客様はどんな人なのか」いわゆるターゲットです。出店は、そのターゲットとなるお客様の一番多いところに出店することが必要な訳です。
ファミリーが対象の飲食店がビジネス街に出店しても無理というものです。ということです。
では何故、繁華街は良いのでしょうか?みなさんこぞって繁華街への出店を目指します。それは、自店のターゲットになる客層を含む分母が大きいために成立していきます。分母の数の桁が違うということです。ですから同じ業態の店舗でも何店も成立します。しかし、繁華街は圧倒的に家賃が高いことが障害です。
繁華街なのか、駅前型なのか、郊外型なのか。まずは、既存店の成功事例から導きだしたプロトタイプに沿った形での出店を目指しましょう。
ここのところのコロナ騒動で、繁華街への人の流入が減っていることから、郊外へ出店をシフトしている傾向があります。消費者の動向にも注意が必要です。
それでは、具体的にどう探していきますが。 まずは、ターゲットと決めた地域でベストポイントを探します。ここを中心に地元の不動産業者を訪問し協力を要請します。
「どこかいい物件ありましたら」ではなく、この場所はどうか?この物件は可能性ないか等具体的に要請ができると印象も強くなります。そして、不動産の業者から情報が来たら、必ず返信することです。これは結構大事なんです、返事をしない人も多いようです、気に入ったものだけ反応して。でも不動産屋さんも人間ですから。本当に良い情報が有った時紹介してもらえるかどうかは、普段の接し方で決まります。ある、不動産業の方が言っていました。不動産業はもっとも近代化されていない業種かもしれないです、そう人海戦術なんです。だから余計に人の判断に委ねられている部分が多いんです、と言っていました。
もう一方で不動産業者に出てこない物件が最近は多くなっています。それば商業ビル、駅ビル、ショッピングセンター等の情報です。これは専門のリーシング会社が情報を流しています。デベロッパーが専門の会社に情報を流しそこが各テナント候補の会社に連絡しています。
そんなルートも一方であることを知っておくこと、そしてそういう会社をしっかりと押さえておくことです。
最初に申し上げたように、立地、物件で成功の7割が決まるとしたら物件探しに力を注ぐことは重要です。そのためには、自分のお店の特性をよく理解し「プロトタイプ」を構築してみることです。どこに出店すべきなのか見えて来ます。
物件が以前にどんな商売だったのかよく調べてください。同じ業種業態で、なおかつ売り上げ不振で撤退した物件であったなら、慎重に判断すべきです。
できれば避けたいところです。でも、飲食店の経営者は自分は大丈夫と思い出店する方が多いようです。前の状況を知っていて比較ができるのであれば別ですが、概ね失敗の原因はその思い上がりにあるようです。
物件探しのポイントは、「立地」「物件」「契約内容」です。
順次確認してまいります。